愛猫との生活が長く続くことは、飼い主にとって幸せなこと。
ですが、猫が年齢を重ねることで避けては通れないのが「介護」の問題です。
もし、あなたの愛猫に介護が必要になったとき、向き合う覚悟はできていますか?
もしかしたら、介護の可能性は感じてはいるものの、どうすればいいのかわからず、不安に感じている方もいるのではないでしょうか?
今回の記事では、愛猫の介護未経験者の飼い主さんに向けて、介護に必要な準備やケアの方法についてお伝えします。
大切な愛猫のために、あなたに今何ができるのかを「知る」ことから始めてみませんか?
猫の介護は避けて通れない現実
10年前に比べておうち猫の平均寿命は延びました。
一方、愛猫の寿命が延びたことで、介護が必要になる可能性が高くなるというのもまた事実。
あなたの愛猫にも、いつか介護が必要になるときがやってくるかもしれません。
実際に自分の飼っている猫に介護が必要になったとき、初めて介護に向き合う飼い主さんの多くは、どのように対応すればよいのか分からず、戸惑いや不安を抱きます。
大好きな大切な愛猫だからこそ、できることをすべてやってあげたいのに、一体何から始めていいのかわからない・・・。
そうこうしているうちに、あっという間に愛猫の状態が悪くなってしまっては、きっと一生後悔してしまいますよね。
ですから、
- 猫に介護が必要となるのはどういう時なのか?
- 猫に介護が必要となったときのために、今どのような準備をしておくべきなのか?
- 猫に介護が必要になったら、具体的にどのようなケアを行うべきなのか?
- 猫の介護を通じて飼い主としてできることは何か?
といったことをあらかじめ理解しておくことで、いざその時が来たとしても、焦らずに落ち着いて対処ができるようになりましょう!
「知る」ということだって、とても重要な「終活の第一歩」になるのです。
今回の記事では、ケガや病気などで猫が若くして介護・介助が必要となったときのことではなく、猫が歳を重ねて老化と共に現れてくる病気や身体の不調によって必要となる介護についてお伝えしたいと思います。
特に、猫の介護が初めての飼い主さんが直面するであろう疑問や不安に対してのアドバイスを中心に紹介していきたいと思いますので、まだ介護をしたことがないけれど、実は気になっているよ!という飼い主さんは是非最後まで読んでみてくださいね!
愛猫の介護を必要とする時期が訪れた「その時」に、飼い主さんがどのように愛猫と向き合い、支え続けることができるのか?
それを知ることが、愛猫に対する介護の日々を支え、あなたの心を整える助けとなるはずです。

猫に介護が必要になるのはいつか?
介護未経験の飼い主さんが最も気になるのは、愛猫がどのような状態になったときに介護が必要になるのか?
ということではないでしょうか。
一般的に、猫のシニア期は11歳からと言われていますが、7歳前後の中年期から体調に様々な変化が現れます。
つまり、猫が歳を取ったときに少しずつ現れてくるこのサイン(変化)に気づけるかどうかが非常に重要になってくるのです。
7歳以上の猫を飼っている飼い主さんは、これから愛猫が迎えるシニア期に向けて、どのようなサインに注意すべきか?ということについて、この機会にしっかりと確認しておきましょう。
高齢猫の特徴と体の変化
猫の高齢化は年齢と共に進行し、通常、7歳前後~が「中年期」、11歳前後~が「シニア期」、15歳前後~が「ハイシニア期」と呼ばれます。
7歳前後を過ぎたころから、猫は体力の低下や健康問題を抱えやすくなります。
目に見える変化としては、
- 白髪が出てくる
- 毛艶が悪くなる
- 体重が減少する
- 寝ている時間が増える
などが挙げられます。
また、加齢と共に内臓や関節に負担がかかり、病気にかかりやすくなることもあります。
特に心臓病や腎不全、関節炎などが高齢猫に多く見られる疾患になるので、まずは年齢と共にこういった変化が訪れるのだということを知識として知っておきましょう。
介護が必要なサイン
老猫には様々な体の変化が起こりますが、その中でも以下のような変化は、猫が介護を必要とするサインとなることが多いです。
食事の変化
- 食欲が落ちる
- 食事を取らない
- 食事の後に吐く
など。
特に高齢猫は消化機能が低下することが多いので、食事内容の見直しが必要になる場合があります
排泄の変化
- 粗相をする
- トイレに行く回数が減る(増える)
- 尿や便の回数や1回の量が不規則になる
など。
便秘や膀胱炎、腎不全などが関連している場合があるので、このような場合は「老化だから」で片づけることなく、変化に気づいたら、すぐに動物病院を受診してください
歩行の変化
関節や筋力の衰えにより、
- 歩行が困難になる
- 足腰が弱くなる
など。
トイレの淵を跨げなくなったり、階段やキャットタワーを登るのが難しくなる場合があります。
猫の病気や症状の変化に気づく重要性
飼い主さんとしては、これらの変化を単なる「老化」として放置せずに、介護が必要になるかもしれない「サイン」であるということに、できる限り早く気づくことが、猫の健康管理において重要です。
これらのサインを見逃すと、ものによっては病気や症状を放置する可能性につながり、結果として愛猫の状態が悪化し、介護の負担も大きくなる場合があります。
定期的な健康チェックとともに、普段の生活の中で猫の様子を注意深く観察することが重要です。
猫の介護を始める前に知っておくべき基本的な準備
それでは、老化のサインに気づいたとき、私たち飼い主には何ができるのでしょうか?
猫の介護について考えるにあたり、事前に準備できることはたくさんあります。
例えば、今後、猫が歳を重ねたときに、愛猫が過ごしやすい環境とはどういったものなのかをあらかじめ検討しておくことなら、今すぐできますよね。
あとは、介護に必要な道具や用品を知り、その時が来たら毎日のケアをどのように進めていこうか、というような計画もざっくりとでいいので、今あなたの愛猫が元気なうちから考えておくのがおススメです。
現状の環境の快適性と危険性を確認する
猫に介護が必要になったら、お部屋の環境なども今と同じでは、猫にとって快適な環境を提供できない可能性が出てきます。
例えば、空調を24時間365日きかせられるお部屋の準備はできているかな?とか、家を留守にするときに、老猫ちゃんが過ごすお部屋には大きな段差があったり、狭くて一度入ると出られない隙間があったりしないかな?などという、快適性の確保と危険性の回避を今から検討しておきましょう。
やはり、その時が来てからだと、なかなかすぐに環境を準備できないということも多いと思いますので、予期できることは平時からあらかじめ準備しておく、というのが良いですね。
介護に必要な道具や用品について知る
世の中には猫の介護に便利な道具や用品がたくさん出回っています。
トイレやおむつ
高齢猫になると、トイレで上手く排泄が出来なくなることがあります。
老猫用のトイレに変更したり、ペットシーツを周りに敷き詰めたり、猫の排便・排尿のための選択肢を検討しておきましょう。
また、場合によっては、おむつを使用することも検討する必要があるので、ペット用おむつの種類や人間用のオムツの種類なども知識としてリサーチしておくと良いでしょう。
ベッドやケージ
寝たきりになった場合などに利用するベッドについても、どのようなものがあるか、今のうちから検索しておきましょう。
また、認知症を発症してしまった場合などに、飼い主さんが不在時に猫の安全を確保するためのケージなども、候補を探しておくと良いです。
シリンジや投薬用器具
食事やお水が自力で摂取できない場合には、飼い主さんが補助する必要が出てくる場合もあります。
状況によっては、獣医師の指導の下、飼い主さんご自身で愛猫に強制給餌をする必要が出てくる可能性もないとは言い切れません。
普段からシリンジでただのお水やペースト状のオヤツなどを与える練習(※)をしておくのがおススメですね。
また、年齢と共に、お薬も増えてくることを想定して、小さく柔らかめのおやつを使って投薬の方法(※)を学んでおくことも大切です。
※必ず獣医師の指導の下、実施してください。自己流でやるのは非常に危険なので絶対にやめてくださいね。
酸素室
病気などで普通のお部屋などでは呼吸が苦しくなってしまう子には、酸素室をレンタルするという選択肢もあります。
介護の時間を捻出する計画を立てる
介護は時間と労力がかかります(そしてお金も)。
状況によっては、かなりの時間を介護に割くこともあるでしょう。
ご家族に時間の自由が利く方がいる場合は問題ありませんが、例えば一人暮らしの場合などは、在宅勤務ができる環境を今から整えておきましょう。
会社員の方は、有休がどのくらい取れるのか、残業時間の調整ができるのか、などあらかじめ確認しておくと安心ですね。
また、介護には当然お金が必要になりますので、ペット保険に入っておくかネコ様貯金をしておくなど、資金面でも平時から準備しておくようにしましょう。

猫の介護で最も重要なケア項目とは?
猫の介護で最も重要なケア項目は、
- 食事管理
- 排泄ケア
- 運動やリハビリ
- 定期的な健康チェック
の4点です。
これらの項目を飼い主さんがしっかりとケアすることで、愛猫のQOL(Quality of Life:生活の質)を維持することができます。
食事管理
シニア猫は、消化機能が弱くなることがあるため、食事内容に配慮が必要です。
愛猫の体調に応じて、栄養価の高い介護食を与えたり、シニア用フードに切り替える必要があります。
介護食、療法食、シニア用フードは一般のフードに比べて割高になる場合もあるので、だいたいの相場感などもあらかじめ調査しておくと良いでしょう。
また、食事量を調整するだけでなく、食べやすい形に工夫したり、頻繁に少量ずつ与えるなどの工夫も必要となりますので、愛猫が元気なうちから、好きな食べ物、好きな柔らかさ、好きなサイズなど、愛猫の食の好みをしっかりと把握しておきましょう。
排泄ケア
猫が自力で排泄できなくなった場合に、トイレを変えるのか、ペットシーツにするのか、オムツにするのか、など対応の選択肢の候補と対応優先度を一度考えてみることをおすすめします。また、圧迫排尿などが必要になったときにどうするかといった方針を、平時から獣医さんと話し合っておきましょう。
運動とリハビリ
シニア猫は運動量が減少し、足腰が弱くなることがあります。
あまり動かないからと言って、そのままにするのではなく、猫にとって無理のない範囲で日々遊んで運動量を確保してあげるようにしてください。
寝たきりになってしまった場合なども、軽いリハビリやストレッチを行うことで、筋力を維持し、足腰をサポートすることができます。
無理のない範囲で定期的に動かしてあげることも、飼い主さんの役割であることを理解しましょう。
健康チェックと定期的な診察の重要性
愛猫が7歳を過ぎたら、年に2回は定期的に動物病院で健康チェックを受けましょう。
特に老猫は加齢とともにかかりやすくなる病気なども多くありますので、早期発見と早期治療が非常に重要です。
そして、当然ですが、治療にはお金がかかります。
普段から動物病院にかかった費用を把握しておくようにしてください。
また、猫が罹患しやすい病気の治療にいくらくらいかかるのかをかかりつけ獣医さんに聞いてみるなどしておくと、あらかじめ予算に組み込んでおくことが出来るので安心です。
まとめ:愛猫の介護とは?
正直、介護は大変です。
経験談から言うと、介護が長引けば長びくほど、飼い主さんの心と身体にかかる負荷は大きくなります。
ですが、介護の時間というのは、愛猫との絆を深め、最期の時を迎える準備期間として、非常に重要な役割を担っていることも事実です。
愛猫が高齢になり、介護が必要になったとき、飼い主さんがちゃんと愛情をもって最後まで面倒を見切れるかどうかは、事前の準備にかかっていると言っても過言ではありません。
ネコ仲間を作っておく、介護にかかる費用を算出しておく、介護でやるべきことをざっくりと把握しておく。
こういった事前の準備ができていれば、落ち着いて愛猫の介護にあたることができるでしょう。
そして、実際にやってみると、介護が辛いばかりではなく、介護を通じて、猫との絆がより一層深まることを実感していただけることと思います。
介護には多くの準備と努力が必要ですが、その中で得られる学びと成長は飼い主さんにとって貴重なものとなるでしょう。
愛猫との介護の日々を支えるために、現実を受け止め、勇気と準備を持って、これからの時間を共に過ごしましょう。
猫の介護のこと、もっと詳しく知りたいあなたに
2023年6月、わが家の愛猫(18歳)が永眠しました。
慢性腎不全でした。
スコ様の異変に気付いたとき、当時はそれが老化なのか病気なのか見分けがつきませんでした。
考えても仕方のないことではありますが、もしあの時、私がサインに気づいていれば。
私自身の反省と後悔から、ひとりでも多くの方に猫の老化と介護について知っていただきたいと思い、オンラインセミナーを作りました。
知ることは気づくことにつながります。
気づくことが出来れば、対応やケアができます。
実際に長い間、猫の介護をしてきたからこそお伝えできることがたくさんあります。
あなたの大切な家族に介護が必要になる前に、ぜひ、知っておいていただきたいこと、まだまだたくさんあります。
セミナーでは、猫の老化に伴う体や行動の変化だけでなく、老化に伴いかかりやすくなる病気、そして、いざ猫に介護が必要になったときの具体的な介護の仕方など、詳しくお伝えしています。
愛猫の猫生を、最期までQOLを保った状態で過ごさせてあげられるのは、飼い主であるあなただけ。
この気づきを学びの機会にしてみませんか?

猫の最期に向けて、心の準備とサポートを
命あるもの、そこには必ず「死」があります。
考えたくはありませんが、シニア期の猫の介護は死と切り離して考えることは難しいでしょう。
そして、これは経験した人でないと意外と気づくことが難しいのですが、介護の期間と終末期の期間で、やるべきこと、飼い主さんのマインドセットは全く異なります。
できる限り後悔の少ない看取りをしたいと願うなら、最低限の知識と飼い主さんの心の準備が必要です。
介護の先にある猫の終末期について学び、愛猫が猫としての矜持を保ちつつ最期まで猫らしく生きぬくためのお手伝いをする準備をしてみませんか?
