「猫と終活をする」という新しい概念
ネコ飼いさんとお話をしていると、必ず聞かれる質問があります。
それは、
「ネコと終活」ってどういう意味ですか?
というもの。
そう聞かれたときに、毎回、ネコ様にも終活が必要だというお話をさせていただくのですが、その瞬間、ほとんどの方が「???」という顔をされます。
ただ、ちゃんと順を追って説明させていただくと、皆さんほぼ同じ感想をくださるのです。
「それ(猫の終活)、絶対必要だね!」
「今まで考えたこともなかった」
とおっしゃる方が、99%。
なぜ猫に終活が必要なのか?
人間も猫も、生きているものは必ず死にます。
これは、致死率が100%であるということです。
致死率100%ということは、人間か猫のどちらかが先に死ぬということです。
猫を飼っている以上、すべての人に起こり得るのです。
だから、必ず準備しておかなければいけないのに、現実には終活について考え、行動に移している人はほとんどいません。
ほとんどの人が考えないけれど、リアルに起こり得る可能性をいくつかご紹介しましょう。
飼い主が一時的に帰宅困難になる場合
もし、ネコ様を飼っているあなたが、外出中に
- 突然の発作に見舞われ、救急車で運ばれて、緊急入院
- 事故に巻き込まれ、病院に緊急搬送され、そのまま入院
となってしまった場合、今家にいるネコ様がどうなってしまうか考えてみたことはあるでしょうか?
入院中の餌やり、トイレ掃除は誰がしてくれますか?
もし、ネコ様が自宅点滴や投薬が必要な持病を持っていたとして、その介護はどうなりますか?
ご家族がいる場合は、まずご家族に連絡が行きますから、あなたが入院したことを知り、ご家族がネコ様のお世話をしてくれるかもしれません。
でも、いつもあなたが餌をやり、トイレを掃除し、ネコ様の健康管理をしていたとしたら、お世話をしてくれるご家族はその内容を全て理解しているでしょうか?
例え、ご家族がいても、同居していないとか、遠方に住んでいるという場合は、ネコ様のお世話を期待することはできません。
もし、あなたがおひとりさまだった場合、さらに悲劇が起こります。
あなたの家に、ネコ様がいる、ということを誰かに伝える手段はあるでしょうか?
ない場合は、ネコ様は家に閉じ込められたまま、餌もなくトイレの掃除もしてもらえない日々を過ごすことになります。
そして、仮に伝える手段があったとして、その伝えた相手がネコ様のお世話を中長期的にしてくれる確率は、限りなく低いのではないでしょうか。
飼い主がネコ様をおいて先に死亡する場合
突然の事故や病気で死亡する場合も、可能性としてはゼロではありません。
一時的な入院と違い、飼い主が死亡した場合は、ネコ様の残りの生涯のお世話を誰かにお願いしなければなりません。
- 同居人がいるとして、猫のお世話が可能なのか?
- 家族が遠方にいる場合や同居していない場合、引き取れるのか?
- 飼い主が孤独死した場合に、そもそも、その死を誰が気づいてくれるのか?
最悪なケースとしては、飼い主死亡時に、ネコ様も誰からも気づかれることなく死亡してしまうということも考えられます。
良くニュースになっている、独居老人が孤独死して、飼っていた猫が保護団体にレスキューされる、というパターンがこれに当たりますね。
飼い主が歳を取ってネコ様のお世話ができなくなる場合
飼い主が歳を重ねると、
- 認知症になる可能性があります
- 身体が思い通りに動かなくなることもあります
そうなったときに、ネコ様のお世話は誰がしてくれるのでしょう?
なんとなく、人は、自分がネコ様を看取ることができると、無意識のうちに考えていしまいますが、飼い主が先に死んでしまう可能性がゼロではない限り、ネコ様のことを大切に思うのであれば、必ず万が一のことを考えて備えておかなければいけないのです。
次に、ネコ様が先に亡くなる場合について考えてみましょう。
ネコ様かかる医療費
多くの飼い主は、ネコ様をお迎えした時は、当然ながら、ネコ様が病気になることなど微塵も考えていないことが多いです。
一般的に言われている、ネコ様の間の飼育にかかる費用は、それほど多くはありません。
ですが、そこには病気になったときの医療費は含まれていないということを、きちんと理解しておく必要があります。
食費とか、定期検査やワクチン代くらいであれば、年間のネコ様の飼育費用など、微々たるものです。
しかし、一度病気になると、動物は国民健康保険のようなものはありませんから、療法食は高いし、診察・血液検査やお薬も高い。
抗がん剤治療や毎日点滴になったなら、もっともっとかかります。
ペット保険に入るかどうかは飼い主の考え方次第ですが、入らない場合は十分な余剰資金を確保しておくべきです。
ただし、こういった費用をつくるにも、すぐにお金が手に入るわけではないので、計画的に貯金などしておく必要があるのです。
ネコ様の終末期の心構え
- ネコ様がいよいよ終末期に入ったとき、強制給餌の有無、点滴の有無、手術の有無、どこまでやるか?
- 自力で用を足せなくなった場合、どこまで介護するか?
- ネコ様が要介護になったときに、飼い主が在宅でいられる環境にあるのか?
- ネコ様が亡くなるときには、どのような経過をたどるのか?
- 安楽死についての考え方は?
このようなことも、方針をしっかりと決めておく必要があります。
ネコ様が病気になってからだと、どうしても感情の部分が入ってきて、猫の状態に関わらず「1日でも長く生きてほしい」となってしまうから。
本来あるべき姿としては、ネコ様のQOLを保った状態で、1日でも長く生きるというのがベストです。
飼い主がさみしいから、とか、辛いからという理由で、いたずらにネコ様の苦しみを引き延ばしてはいけません。
ネコ様が亡くなった後にもやることがたくさんあります
- 亡くなった後のエンゼルケアをどうするのか?
- 葬儀社は?
- お骨は?
こういったことは、すべて「まだ何も起こっていない時」にやっておかなければなりません。
「その時」になってからでは、選ぶ時間がない=悪徳業者に引っかかる可能性だって無きにしも非ず。
後悔の残る対応になると、後々までずっと引きずることになります。
「ネコと終活」の重要性に気づいてほしい
このように、いずれかのことは、必ず起こるとわかっているのに、準備をしていない人が多いのです。
もしかしたら、日本人の死生観として、あまり死について考えることをしてこなかった歴史があるからかもしれません。
とは言え、これからどんどんおひとりさまが増えていくこの時代に、猫の飼育頭数も増え、人と猫の老々介護ということだった珍しくはなくなる時が来るのです。
そうなったときに、困らないように。
ネコと終活では、ひとりでも多くの飼い主様が、最期までネコ様と幸せに暮らしていけるように、ネコの終活を啓蒙しています。
そんなに難しいことではないのです。
1つ1つクリアしていけば、誰にでもできることなのです。
でも、いざ、重い腰を上げて自分でやってみようと思っても、なかなかそれが難しい。
そんな方のために、ネコと終活では、人生(猫生)設計を飼い主様と一緒に作り上げる「終活ポートフォリオ」というサービスを提供しています。
ネコ様との生活をするには、必ず終活の概念を持って、人も、ネコも、最期まで幸せに人生(猫生)を全うしてほしいと、心から願っています。