若いころは病気一つしなかったあなたのネコ様も、シニア期に入ると病気をしたり、老化によって医療費がかかってきます。
特に終末期と言われる、病気などの状態が悪化し、治療が難しくなった場合の期間においては、受けさせる治療内容によっては、かなりの医療費がかかることを覚悟しておかなければなりません。
高額療養費制度などがない、ペット医療の世界では、あらかじめ「ここまではやる」「この金額までは支払う」という上限を決めておかなければ、果てしなくお金を払ってしまうことも起こり得るのです。
とは言え、ネコ様の死を目前にして、医療費の上限を決めることは非常に難しいので、彼らが元気なうちに、あらかじめ医療費の上限を決めておくことがとても重要です。
猫の医療費は高額になる可能性があることを理解しておきましょう
年に1回の健康診断や、ちょっとした体調不良の時にはあまり気になりませんが、慢性的な病気や老化によって必要になってくる動物病院での診療料や治療費は高額になる場合があります。
我が家のネコ様は、慢性腎臓病だったので、通院、血液検査、診察、自宅点滴、薬など、諸々で、毎月平均約10万円ほど医療費だけでかかっていました。(保険を使わない場合)
病院によって異なりますが、点滴を病院で打ってもらうと、1回2,000円~4,000円程度かかります。
(私の場合は自宅点滴が可能でしたが、毎日病院で点滴してもらうと、1回3,000円だったとしても点滴だけで月9万円です・・・)
また、手術や治療のためネコ様が長期にわたって入院する場合には、医療費が膨大な額になることもあります。
入院する日数や治療内容にもよりますが、4日ほど入院するだけで、軽く10万円をこえてきますし、1週間を超えると、20万円なんてザラです。
さらに、あなたのネコ様が癌にかかった場合、手術や化学療法、放射線治療などの治療が必要になりますが、これらの治療には、高額な医療費がかかります。
抗がん剤の注射1本数万円、そういう世界です。
例えば、我が家のように、ネコ様が老化によって慢性腎臓病などの持病を抱えた場合には、医療費が長期にわたってかかり、食事もすべて療法食になりますので、非常に高額になります。
我が家はペット保険に入っていませんが、ペット保険に入っていたとしても、保険内容によっては、月額上限や、利用回数の上限などが決まっている場合があり、すべてが賄えるわけではありません。
ペット保険に入っていても、保険内容によっては、かなりの自己負担額となる可能性があることは覚悟しておいた方がいいでしょう。
猫の医療費の上限を設定することが必要な理由
ネコ様の病気や老化によって必要な医療費は、高額になる可能性があることは、上で説明した通りです。必要である治療を、すべて受けさせていては、経済状況によっては破産してしまいます。
そのため、ネコ様が終末期を迎える前の元気な状態の時に、飼い主はネコ様にかける医療費の上限を設定しておくべきです。
医療費の上限を決めることで、自分の財政状況を鑑みたうえで、必要な医療を適切に受けさせることができます。
また、獣医師に対しても、治療方法や費用について事前に話し合うことができます。
大切な家族ですから、病気になった場合には、できる限りの治療を受けさせてあげたい、と思うのは当たり前の感情です。
ですが、どう考えても、自分の収入には限度がありますから、全財産をなげうってすべての治療を受けさせるということは困難なのです。
今、自分にできることをしっかりと把握し、その中でできることをしてあげる、という覚悟が大切です。
私の場合は、ネコ様が慢性腎臓病だったので、闘病生活は長くても3年くらいだと思っていました。(実際は1年とちょっとという短い期間だったのですが・・・)
ですから、ネコ様にかかる医療費は、高くてもすべて支払おうと決めていました。
仮に月10万円かかったとしても、年間120万円。
3年間くらい払いきれる、そう思ったからです。
さすがに月20万円を超えた月は、正直ドキドキしましたが、結果として予想通り、月平均10万円程度に落ち着き、ホッとしたのでした・・・。
猫の医療費の上限を設定するポイント
家計状況を考慮する
ネコ様の終末期には、かなりの医療費がかかります。
そのため、自分の家計状況を考慮し、医療費の上限を設定しておきましょう。
医療費の上限を設定する場合には、自分が支払える範囲内で設定することが重要です。
家計状況が厳しい場合には、上限金額を低めに設定しなければならないこともあります。
ペット保険に入っている場合には、どこまで適用されるのか、しっかりと把握しておくことが大切です。
私はペット保険に入っていませんでしたが、入っている人に話を聞くと、適用されない病気があったり、月々の金額の上限や回数の上限があるようなので、いざという時に保険に入っていたのに適用されなかった、という悲劇もあるようで・・・。
獣医師と事前に話し合っておく
ネコ様の終末期に必要な医療については、事前に獣医師としっかりと話し合うことが大切です。
獣医師は、病気や老化によって必要な治療や手術、入院期間などについて、あなたのネコ様にとっての最善を提案してくれますが、あなたが何も言わなければ、あなたの経済状況について考慮してくれません。(何も言わなければ知りようがないですし、飼い主さんから何も言われていないのに、相手の経済状況を示唆するような提案はしないでしょう。)
そのため、ネコ様が元気なうちから、獣医師と医療費の上限について話し合っておくことで、あなたの経済状況に応じた、最善の治療や手術、入院期間などを提案してくれるでしょう。
また、獣医師から、その上限でできる範囲内での治療方法や費用についてのアドバイスや、そのほかの選択肢などの助言をもらうこともできます。
我が家のかかりつけ獣医さんは、本当に素晴らしい先生で、いろんな側面から提案してくださる方です。
私が色々質問しても、しっかりとすべて答えてくれますし、お薬についても効果だけでなく副作用や金額等についても、事前に説明してくれます。
医療費が高くても積極的な治療をしたいのか、医療費の上限を決めて、その範囲内で治療したいのか、という点については、後になってからだと言いにくい時もありますので、最初のうちに良く先生をお話しておくと良いと思います。
飼い主本人が意思決定をする
ネコ様の終末期に必要な医療費の上限を最終的に設定をするのは、誰でもないあなたです。
獣医師からのアドバイスや自分の家計状況を考慮し、自分自身が主体的に必要な治療や手術、入院期間などについて判断しなければいけないということを覚悟してください。
先生は、いろんな提案をしてくれます。
ですが、それは、あくまでも獣医師としての立場で、です。
特にネコ様の終末期においては、先生は医療の面からのお話はしてくれますが、結局のところ、ネコ様に対して何をしてあげて、何をしないのかを決めるのはあなたです。
終末期における判断は、ものすごくメンタルがやられます。(私は、1ヵ月で3キロ痩せました・・・)
やはり、ネコ様が元気なうちから、終末期のことについても、しっかりと考えて準備しておくのがおススメです。
あらかじめ医療費の上限を決めておくことのメリット
ネコ様が終末期に入ってからではなく、彼らが元気なうちに医療費の上限を設定することには、以下のようなメリットがあります。
ペット破産を防ぐことができる
ネコ様が終末期に入り、苦しんでいるのを見ている状態の中で、医療費を出すかどうかを考えると、どうしても「お金で命が買えるなら」と思ってしまいがちです。
助かる見込みがない治療に対しても、際限なくお金を使ってしまい、自分のお金が無くなるまで頑張ってしまうことだってあるかもしれません。
だからこそ、余計な感情が入らない、ネコ様が元気な今、しっかりと医療費の上限を決めておきます。その方針を崩さないように、できる範囲の中で最大限のことをしてあげる、という考え方をすることで、飼い主さんの破産を防ぐことができます。
獣医師との話し合いがスムーズになる
医療費の上限を決めておくことで、獣医師との話し合いがスムーズになるります。
獣医師も、飼い主がどの程度の費用をかけることができるかを把握することで、必要な治療や手術、入院期間などを提案することができるからです。
また、獣医師が費用面について考慮した上で、より費用効果の高い治療方法を提案することができます。
飼い主のストレスを軽減することができる
あらかじめ医療費の上限を決めておくことで、その中でできる最大限の治療を選択することができます。
例えすべての治療を受けさせてあげられなかったとしても、「今できる最大限のことをしてあげられた」という事実は、飼い主さんの気持ちをかなり楽にしてくれるでしょう。
まとめ
ネコ様の医療費の上限を設定することは、飼い主にとって非常に重要なことです。
ポイントは、「ネコ様が元気なうちに方針を決めておく」ということ。
決めた方針は、早い段階で獣医師とシェアしておき、自分の家計状況を考慮した上で、必要な治療や手術、入院期間などの治療方針について話し合っておきましょう。
ネコ様の終末期には、彼らと共に過ごす時間を大切にし、彼らの最期を心の準備をして迎えることが大切です。
まだ起こっていもいない将来のことを考えるなんて難しいし、どこから考えたらいいのかもわからない。
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