2022年12月12日:老猫を介護できる幸せ

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2022年12月12日(月)

少しずつ、ゆっくりと、穏やかに、緩やかな坂をてくてく降りていく。

昨日まで当たり前にできていたことが、ちょっと難しくなって。

下僕が少しお手伝いすればできていたことが、今日はできなくなっていたりする。

そうかと思えば、次の日はまた自力で何とか出来たりもする。

ネコにも(ネコにこそ、と言うべきかもしれない)”矜持”というものがあるらしく、手を貸そうとすると、

ええい、余計なことはしてくれるな!

と言わんばかりに、ムキになって自分でやろうとすることもある。

わずか1カ月半ほど前までは、普通に歩いたり、走ったりできていたのだけど、ここにきて歩くのもやっと、という状態になってきた。

これは腎臓のせいじゃなくて、軟骨異型性症候群のせいだと思う。

右前足が痛いらしく、この時 ↑ はたまにびっこ、という状態だったのが、今はずっと右足を引きずっている。

最初はキャットタワーやケージの段差を撤廃してしまおうかとも思って、シマシマだけが乗り越えられて、スコ様は乗り越えられないような高さのバリケードを築いてみたのだけど、目を離したすきにスコ様が登っていて、却って危ないので、もう好きにさせることにしました。
(下僕がちゃんと見ていればいいことなので。)

ネコケージの段差を少し緩やかにし、

床には滑り止めマットを敷くことにしました。

ごはんは昔は1日2食だったのが、1回量が減ったことにより、1日6~8食に増えました。

食事はすべてペースト状に。
(時々、気が向くとカリカリを食べることもあります。)

食後は、顎ニキビ防止のために、必ず温めたウェットティッシュで顎を拭く。

毎日の点滴と投薬。

以前は戦争だったが、今ではお互い慣れたもの。

フーシャーされても、「はいはい」という感じで、当初絶対に無理だと思っていた、「息をするように」点滴が打てるようになりました。

トイレは、今はまだ自力でできているけれど、トイレの中でしりもちをつくことが増えてきたので、間もなく介助が必要となるのだろう。

緩やかに、穏やかに、昨日できていたことが、今日はできなくなった日が続いていく。

生きるということは、そういうことなのだ。

この緩やかな坂を、スコとともにてくてくと降りながら、私たちはお互いの準備をする。

老猫の介護は、大変。

ましてや、頼る家族のいないおひとりさまならば、なおさらのこと。

そして、これからもっと大変になっていく。

老化に伴う介護というのは、徐々に徐々に機能が失われていることもあって、介護する側もされる側も、日々を納得しながら生きていける。

心の準備ができるのだ。

もし、スコ様が、急性腎不全の時に、死んでしまっていたら、私はずっと死ぬまで後悔し続けたと思う。

あのとき、こうしていれば。

と、考えても仕方のない呪縛にとらわれて、生きていくことになっただろう。

でも今、幸いにもスコは生きている。
(足は痛いだろうけど、まあまあ元気)

できないことが増えても、二人で納得して生きている。

できないことが増えたら、じゃあ、どうやったら少しでも楽になるかな、と考える。

スコ様がスコ様らしく、QOLを落とさずに、楽しく生きるにはどうしたらいいかな、と知恵を絞る。

スコ様と一緒に、ゆるゆると坂道を下る。

もちろん、スコ様の急性腎不全に気づくのが遅れたことは、本当に今でも後悔してるけど、なってしまったものは仕方がないので、これからをどうやって生きていくかをしっかりと考えられている今がとても幸せだ。

介護は大変なことも多いけど、元気な時には考えられなかったほどの濃密な時間を過ごせるという幸せを噛みしめる。

不謹慎かもしれないけど、こういう幸せの形もあるのだと教えてくれた我が家のネコたちには感謝しかない。

できるだけ、楽しく、生きよう。

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