「ネコとおひとりさまの慢性腎臓病闘病記」を書こうと思ったきっかけ

目次

はじめに

我が家のネコ様(スコ様:スコティッシュフォールドの女子、当時17歳)が、腎不全を発症したのは、2022年2月24日のことでした。

私が一番困ったこと。
それは、とにかく腎臓病の闘病生活における、飼い主目線の情報が少ない。
ということでした。

「腎臓病になったら、こういう症状が出るので、腎臓病にならないように気をつけましょう」という記事は山ほど出てくるのに、ネコとの実際の闘病生活に関する情報が非常に少ないのです。

自宅点滴のコツは?
投薬のコツは?
療法食を食べない時はどうすればいいの?

こういった情報を探すのに苦労しました。

そして、もう一つ困ったことが、「おひとりさまが」ネコを介護するというパターンの情報が極めて少ないということだったのです。

特に自宅点滴をする場合、2人いれば一人はネコを保定し、もう一人が針を刺す、ということが可能ですが、おひとりさまの場合はそういうわけにもいきません。

Youtube等で、おひとりで自宅点滴をされている方の動画もありましたが、我が家のスコ様は全くおとなしくしてはくれません。(逃げる、噛む、ひっかく・・・と暴れまくりで生傷が絶えない日々を過ごしました・・・)

とにかく試行錯誤を繰り返し、ようやくちゃんと自宅点滴ができるようになるまでは、約3カ月もかかりました。

・・・とこのように、おひとりさまがネコを介護するという飼い主目線の情報が少なく、非常に苦労したので、自分の体験をさらけ出すことで、同じようにおひとりでネコを介護している方の参考になればと思い、このシリーズを立ち上げました。

2023年6月現在、スコ様は腎臓病の終末期を迎え、自宅でターミナルケアをしています。
「看取る」ということについて、考えて考えて考え抜きました。

ネコの終活についても、看取りになる前の段階から、しっかりと考えていました。

おかげで、間もなく虹の橋を渡ろうとしている、大切な我が家のスコ様との、残された時間を、1分1秒無駄にしないように、しっかりと一緒に過ごせています。

介護は孤独です。

ただ、孤独ではありますが、決してひとりではありません。

同じように悩み、苦しみ、何かできることはないかと模索する同志が、世の中にはたくさんいます。

どうかひとりで抱え込まないで。

今回の「ネコとおひとりさまの慢性腎臓病闘病記」シリーズが、同じく介護で模索している方の、少しでもヒントになればとてもうれしいです。

ご注意ください

このブログは、ネコ様の飼い主としての目線で、自分なりにできる最大限のことをしてきた記録として綴ったものです。
私は動物医療従事者ではありませんので、医療にかかわるアドバイスは記載しておりません。
ブログの中には、お薬の投与や治療についても記載してありますが、それはあくまでも、スコ様の場合はそうだったという事実だけであって、どのネコ様にも適用できる治療や診断ではありません。
ご自身のネコ様については、必ずかかりつけの獣医さんにご相談ください。
また、慢性腎臓病のネコについて、こうするべきという押しつけのような気持ちは一切ありません。
あくまでも、自分が飼い主として、やってよかったなと感じたことを書いています。

どうか、本ブログの趣旨をご理解いただき、ご納得いただける方のみ、ご覧いただければと思います。

「ネコとおひとりさまの慢性腎臓病闘病記」の概要

さて、ここで、今回のシリーズの概要を少しお話させてください。

冒頭にも書きましたが、我が家のスコ様が、腎不全を発症したのは、2022年2月24日のことでした。

17歳という高齢にも関わらず、毎年の健康診断では、ほぼすべて基準値内という、先生もおどろきの健康優良児だったスコ様。

餌や健康状態には気を使っていたつもりでしたが、飼い主として、その状態に胡坐をかいていたのかもしれません。

結局、なぜ腎不全を発症したのか、原因はよくわかりませんでした。

突然の発症に、何の知識もないまま、丸腰で闘病生活に入ることになりました。

当時は、急性腎臓病ということで、回復するであろうと思っていたのですが、結局そのまま慢性腎臓病へと突入することとなったのです。

父が慢性腎臓病で、長い闘病生活(15年以上)を送りつつも、そこそこ自立した生活を送っていたということもあり、(人間の)腎臓病に対するある程度の知識はあったので、まあ、すぐに死ぬ病気ではないか、と高をくくっていたのだと思います。

実際のところ、人間とネコでは(当たり前ですが)腎臓病の治療方法は異なりますし、できることも違います。

最初のうちは、(あまり自分の頭で考えたり、調べたりすることなく)かかりつけの動物病院の先生の言うとおりに、はいはいと、言われるがままに治療していました。

誤解のないように先に言っておくと、かかりつけ獣医さんの判断は極めて適切で、本当にこの動物病院で診てもらうことができてよかったと思っています。
(何しろ、自宅点滴が始まってから1年以上経過し、今もスコ様は生きているのですから。感謝しかありません。)

ただ、当時の私はこの病気のことをあまり深刻に考えておらず、治療に対しては医師任せだったように思います。
その自分の姿勢が、今は少し悔やまれるのです。

なぜならば。

慢性腎臓病の病状が進行するにつれ、分らないことが増え、飼い主としての判断を迫られることが増えてきました。

その時の判断をするだけの知識が、私には圧倒的に少なかったのです。

先生の治療方針に対して、何か思うところがあったとかそういうことではなく、単純にもっと早いうちから腎臓病について勉強しておけば、いざという時に焦らなくて済んだのに、という、これは自分への戒めです。

腎臓病のステージが2くらいまでは良かったのです。

投薬、自宅点滴等、まあ色々やらなければいけないことはありましたが、まだまだ普通に元気で生活できていたからです。

昔ほどの元気さはありませんが、それは単純に歳を重ねたことにより、落ち着いた、というくらいの変化でしかなかったからです。

まだまだ「死」を意識する状態ではなかったのです。

それが、ステージが上がり3になり、4に突入した時点で、状況は一気に変わります。

食欲不振に始まり、下痢や貧血など、様々な症状が出始めました。

それでも、ステージ3までは、まだ良かったのです。

食欲不振により若干の体重減少は見られたものの、必要最低限の体重はギリギリキープできており、本猫もまだまだ生き生きと生活できていたからです。

状況が変わったのは、ステージが4になって、CREの値が6を超えてきたときです。

まだまだイケると思っていた、スコ様との生活に「終わり」があるということを実感せざるを得ないほど、スコ様の病状は悪化していきました。

先生からは、「その時が来たら、ガクッと一気に来るからね」とは言われていました。

当時は、「そんなもんかな」と思っていましたが、本当にその通りでした。

まるで坂道を転げ落ちるかのように、毎日毎日少しずつ悪くなっていくスコ様。

これ以上、治療としてできることがなくなってしまうという恐怖。

「看取り」を視野に入れて、日々を必死に生きていかなければならないという事実を知ったときに、愕然としました。

自分が飼い主として、どうすればいいか分からない。

幸いにして、動物病院の先生とは非常に良好な関係を築けていたので、よく相談させてもらいました。
(今も相談させていただいています。)

それでも、先生から得られる回答は、あくまでも獣医師としての回答。
(当たり前ですが)

私は、ネコ様の飼い主として、どうすべきなのか?どうしたいのか?何ができるのか?

それは、飼い主である、私自身が決めるしかないのです。

とにかく、情報を集めました。

ネットで、書籍で、「猫」「看取り」というキーワードで徹底的に。

とてもつらい時間でした。

長い時間人生を共にしてきた相棒とお別れする日が迫っているのです。

そしてその日までに、積極的な治療というものはせずに(というか、もうできることがない状態でした)、どのように残された時間を過ごすか、という思考に切り替えることは非常に難しかったと感じました。

スコ様の腎不全が発覚してから、看取りまで。

苦労したこと、工夫したこと、便利だったツール類、頼ったサービス、そして看取りのマインドセットの方法など。

自分が体験し、体感してきたことを、余すところなくお伝えできれば思います。

介護に正解はありません。

飼い主さんが悩みぬいて決めたことであれば、ネコ様はきっと理解してくれるはずです。

大切なのは、しっかりとネコ様目線で考えること。

このシリーズが、どうか必要としてくれる人のもとへ届きますように。

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