ウェットフードとドライフードの成分比較は乾物量分析値を使おう

腎臓病のネコ様の飼い主の頭を悩ませるのが、どんなフードを与えるか問題。
腎臓病の子は、尿毒症により食欲がなくなることが多いです。

ただでさえ食欲が落ちている上に、低たんぱく低リン設計の腎臓病食というのは、ネコ様にってはおいしくないようで、余計に食べてくれないという苦労は、腎臓病の子を持つ飼い主さんの多くが経験しているのではないでしょうか。

あまり食べてくれないのはわかってはいるけれど、少しでもたんぱく質やリンの含有量が少ないフードを選びたい。

そう思う飼い主さんは少なくないと思います。
そんな時に判断基準の一つとなる方法を紹介します。

目次

保証分析値と乾物量分析値

ネコ様のフードのパッケージに書かれている成分表の多くは、「保証分析値」というもの。
保証分析値は、栄養素が入っている割合(ざっくりとした%)を表しています。

例えば、メルミルのウェットフード(というかペースト)の場合は、たんぱく質が4.0%以上入っていることになります。この保証分析値の中には水分も85.0%含まれています。

メルミル 18歳からの総合栄養食 まぐろ味

ドライフードのPURINAの腎臓ケア(NF)の場合は、たんぱく質が26.5%で水分は12%です。

PURINA 腎臓ケア

ウェットフードとドライフードでは、含まれる水分量が大きく異なります。
このため、保証分析値の場合はウェットフードとドライフードを単純に比較することができないのですね。

一方、乾物量分析値は、水分という項目が含まれません。
つまり、フードの中から水分を除いた栄養素の割合を示したものになります。

乾物量分析値の使いどころとしては、水分量の異なるフードの栄養成分を比較するときに役立ちます。
(水分量が全く同じドライフード同士、ウェットフード同士を比較するのであれば、保証分析値で比較しても大丈夫です。)

乾物量分析値の計算方法

異なる水分量のドライフードとウェットフードの栄養成分を比較するには、保証分析値よりも乾物量分析値の方が比較しやすいのですが、ほとんどのネコ様用のフードのパッケージには乾物量分析値は記載されていません。(療法食には記載されているものもありますが、普通のスーパー等で売られている一般食のパッケージに記載されているのは、ほとんどが保証成分値です。)

じゃあ、どうやって比較すればいいの?というと、保証成分値から乾物量分析値を計算することができます。

乾物量分析値の計算式

計算したい成分(%) / (100 – 水分量(%)) * 100

例えば、先ほどのメルミルのたんぱく質の乾物量分析値を計算してみると、
  4 / (100 – 85) * 100 = 26.67(%)

PURINAのNFのたんぱく質の乾物量分析値は、
  26.5 / (100 – 12) * 100 = 30.11(%)

という感じで、水分を抜いた状態での栄養成分比較ができます。

ウェットフードとドライフードの保証分析値の比較

フードのパッケージに記載されている保証分析値は下記の通りです。

一見、ウェットフードのメルミルの方がたんぱく質もリンも少ないように見えてしまいますが、これはメルミルの水分割合が多いために、それ以外の成分の割合が相対的に低くなっているだけにすぎません。

スクロールできます
メルミルPURINA
水分85.0%以下12%以下
たんぱく質4.0%以上26.5%以上
リン0.11%(標準値)0.44%以下
保証分析値

ウェットフードとドライフードの乾物量分析値の比較

保証分析値から、乾物量分析値を計算すると、以下のようになります。

水分を除いた状態で、それぞれの栄養成分の割合を算出しますので、ウェットフードとドライフードを同じ土俵で比較することができるというわけです。

スクロールできます
メルミルPURINA
たんぱく質26.67%30.11%
リン0.73%0.5%
乾物量分析値

乾物量分析値の使いどころ

実際、私がスコ様のフードを選ぶときには、必ずたんぱく質とリンの保証分析値を乾物量分析値に変換して、自分なりの基準値をクリアしているかを判断してから買うようにしています。
他にも、カルシウム・ナトリウムの保証分析値がパッケージに書いてあれば、それも見るようにしています。

後は、カロリー(代謝エネルギー)。

腎臓病が進行してくると、本当になかなかフードを食べてくれなくなるので、いかにカロリーを摂取させるか、というところが非常に重要になってきます。(普通の子は太りすぎはダメだけど、腎臓病の子は体重を減らさないようにするのが何よりも大事。)

スコ様は、2023年2月現在ステージ4。
つまり、できる限りたんぱく質とリンをおさえた設計のフードを本当ならば与えたい。

でも、ここまでくると、療法食はほとんど食べてくれないので、今は低リン設計の一般食のうち、食べてくれるものを手当たり次第に与えています。

そんな中でも、できれば、乾物量分析値としての
 ・たんぱく質は、30%以下
 ・リンは、0.5%以下
を目標に、フードを選んでいます。

とは言え、なかなかここまでのモノはないので、
 ・たんぱく質は、40%以下
 ・リンは、0.8%以下
あたりで、妥協することが多いです。

食べない療法食よりは、少しでも食べてくれる一般食を与える、というのがかかりつけ獣医さんと私の方針です。

まとめ

フードのパッケージに書かれている成分表の多くは、保証分析値なので、異なる水分量のフード同士を比較するときは乾物量分析値に変換して、比較するようにしましょう。

かかりつけ獣医さんとの相談の上にはなりますが、腎臓病末期の子の場合は、成分表の値をあまり気にしすぎず、一番はネコ様が食べてくれることを最優先して、色々なフードを試してみるという方法も選択肢に入れていただけるといいかと思います。

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