猫の腎臓病と高血圧と貧血の関係とは?

我が家のスコ様が慢性腎臓病になったとき、血液検査の結果でCREやBUNなどの腎臓に関する数値しか見ていませんでした。しかしその後、慢性腎臓病が進行するにつれ、腎機能の低下によって、思いもよらぬ別の症状が出たのです。
それが、高血圧と貧血でした。

最初は、腎臓病と高血圧や貧血が繋がらなくて、「??」となっていましたが、かかりつけの動物病院の先生に色々と説明してもらって、ようやく「ああ、なるほど」と納得できたのでした。

人間も猫も、身体の仕組みは本当に奇跡のようなもので、1つ均衡が崩れてしまうと全体的に上手くいかなくなるものなのだということを思い知りました。

目次

腎臓病の猫に高血圧が多い理由

腎臓病の猫の約2割が高血圧を示すそうです。

腎臓には、尿や血液に含まれている水分をコントロールして、血圧を適正に保つ働きがあります。
腎機能が低下すると、尿をつくる働き(ろ過量)が低下するため、それを食い止めるために身体は血管を収縮させ水分量を増やし、血圧を上げることによって、腎臓のろ過量を保とうとします。
これが腎臓病の猫が高血圧になりやすいと言われるメカニズムです。

人間もそうですが、そもそも高血圧という状態が良くない。
高血圧は臓器や血管を痛めつけ、ネコの場合は失明や脳障害、心肥大等を引き起こす可能性が高まります。

また、そういった一般的な高血圧の症状以外にも、腎機能が低下している状態で高血圧になると、腎臓からたんぱく質が漏れ出てしまい、このたんぱく質が尿細管を通過するときに周りの組織を壊すため、さらなる腎機能の低下を招くという悪循環になるのです。

腎臓病のネコ様にとって、高血圧は、さらなる腎機能の悪化を招く、負のスパイラルの要因となるため、血圧もコントロールしていく必要があります。

ちなみに、我が家のスコ様も高血圧です。お薬を飲まないと、収縮期血圧が180㎜Hgを超えます。
血圧を下げようとお薬を正規の量を飲ませると、今度はろ過量が阻害されて、CREとBUNが爆上がりしてしまったので、今はお薬の量を規定量の半分まで下げて、ギリギリの状態を保っています。

かかりつけの先生とよく相談し、ネコ様にとってどういう治療をするのが適切なのか、しっかりと納得のいくまで先生を話し合うことがとても重要だと思います。

腎臓病の猫に貧血が多い理由

腎臓には、骨髄に対して赤血球を作るように指示を出す役割もあります。

腎機能が低下すると、この指示(ホルモン)が出にくくなるため、血液が作られずに貧血になります。
血液検査の検査項目だと、ヘマトクリット値(HCT)やヘモグロビン濃度(HGB)を見ると、貧血かどうかがわかります。

貧血になると最初のうちはふらつき程度で済みますが、最終的には全身が酸欠気味になり、死に至る場合もあります。
スコ様は貧血気味なので、3カ月に1回ほどのペースで、ネスプ注射液を注射してもらって、貧血改善しています。
貧血に関しては、幸いにも、血圧のようにトレードオフの関係ではないので、定期的に注射を打てばそれでOKです。

腎臓病の猫がリンを制限したほうがいい理由

腎臓病のネコ様に与えるフードについて考えたときに、避けて通れないのがリンの含有量。
リンと腎臓病にはどのような関係があるのでしょうか?

リンは、骨や歯を丈夫にするために必要な栄養素の1つです。
しかし、腎機能が低下すると、リンを尿中に上手く排出することができなくなり、体内のリンの濃度が高くなります。そうすると、体内の栄養素のバランスを保つために、濃度が高くなりすぎたリンとカルシウムが結合しようとします。この時に血中のカルシウムが足りないと、骨を溶かして血中カルシウム濃度を上げようとするのです。

血中カルシウム濃度が高い状態が続くと、腎臓を含む様々な臓器で石灰化が進む場合があります。
ただでさえ、腎臓が損なわれているのに、ここに石灰化が加わるとさらなる腎機能の低下につながります。

スコ様は、ぶっちぎりでリンの数値が高いので、毎日のごはんにプロネフラをこっそりと混入させて食べさせています。効いているのかどうかはちょっとよくわからないですが、飲ませていない時よりは下がっているので、ほどほどに効いているのだと思います。笑

また別記事に書こうと思っていますが、腎臓病ネコのフード選びは非常に難しいです。1年たってもまだ難民です。何やらリンという成分は美味しさの部分にも関わっているとかいないとかで、低リン低たんぱくのフードは、スコ様にとってはおいしくないらしい。

療法食で、すごくおいしいものがあれば、本当に助かるのに・・・。
ネコ餌メーカーさんに今後期待したいと思います。

判断するために必要なものは知識

大切なネコ様が病気になってしまったら。
特に、慢性腎臓病のように、一生付き合っていかなければならない病気になってしまったら。

ペットを飼うということは、判断の連続です。
信頼できる獣医さんに出会ったとしても、最終的な判断は飼い主がしなければなりません。

そのために必要なのは、知識。

獣医さんの提示してくれた選択肢がどういうメカニズムで、自分のネコ様に作用するのか?その選択肢を選んだ場合は、何が起こるのか?
しっかりと理解し、納得した上で選ぶことが、後々後悔しないことにつながります。

わからなければ調べる、獣医さんにとことん聞く。

ネコ様が自分の意志で、複数の選択肢の中から自分の希望を選ぶことはできません。
飼い主であるあなたが、ネコ様にとって一番いいと思う選択をするしかないのです。

例:アムロジピンの投与量をどうするか?

薬を飲ませると血圧は下がるけどCREとBUNは悪化する。
逆に、CREとBUNの値が上がってしまうのが怖くて、薬を飲ませるのをやめて高血圧を放置しておくと、最悪失明の危機があったりします。

悪い中でも一番いいところを狙う。
スコ様の場合は、規定量のアムロジピンを投与すると、血圧は上が180→140まで下がりましたが、代わりにCREとBUNの値が爆上がりしてしまったため、若干食欲が落ちてしまいました。(おそらく老廃物がたまって気持ち悪くなったのだと思います。)

そこで、先生と相談して、アムロジピンの量を半分にして血圧は160くらいで押さえつつ、CREとBUNがある程度高くなってもそれ以上上がらないギリギリのところを狙うことにしました。

こういった判断ができたのは、信頼できる獣医さんと出会えたことと、自分がある程度知識を持っていたから。
自分が決めたことだから、結果にも納得できる。
これが、獣医さんの言われるがままにしていると、結果として状況が悪くなった場合に、後悔する可能性が高いので注意しましょう。

全力で判断し自分が決めたことに後悔しない

何か正解かなんて、たぶん一生わかりません。
でも、最期に後悔しないためにも、今できることを精一杯やる。
とことん納得できるまで考える。
そのためには、知識が必要。

そのマインドが大切なのです。

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