猫たちを救え!ネコリパブリックの今と未来構想 ~「想いをつなぐ」インタビュー(第1回) ~

世の中のネコ愛の強い方々の活動を取材して、その想いや素晴らしい活動内容などを紹介する、ネコと終活2024年の「想いをつなぐ」企画。

記念すべき第1回は、株式会社ネコリパブリック代表の河瀬麻花首相にお話をうかがいました。
(あさかさん、快く取材を引き受けてくださって、本当にありがとうございます!)

🔽あさか首相のプロフィールはこちらから
https://www.neco-republic.jp/about/primeminister/

この世のすべての猫に安心して眠れる場所とお腹いっぱいの幸せを与える!というミッションのもと、常に全力で走り続けるネコリパブリック(通称ネコリパ)。

猫に興味がない人も、
猫が嫌いな人までも巻き込んで、
社会を変え、小さな命を、
誰もが大切にする社会へ。

ネコリパブリックHPより引用:https://www.neco-republic.jp/about

そんな素敵な未来を目指すネコリパブリックが、今どのような活動をして、そしてこれからどこに向かうのか?

猫助けのことはもちろんですが、自走型猫ビジネスを展開するネコリパブリックの経営思想までもが詳らかになった、今回のインタビュー。

総取材時間は、驚きの3時間。笑

ボリューム満点の記事となりましたので、お時間あります時に、コーヒーを片手に、そしてネコ様を膝の上に載せて、じっくりと味わうようにお楽しみください。

目次

ネコリパブリックの今現在:能登半島地震のこと、猫のバスのこと

2024年1月1日。
能登半島で大きな地震がありました。
多くの方が、自宅を離れることを余儀なくされ、たくさんの飼いネコたちが路頭に迷うことになりました。
そんな中、1匹でも多くの猫たちを救うべく、あさか首相自らが現地に入り、ネコのバスを1.5次避難の場として提供し、2カ月たった今も継続的に猫たちを救助し続けています。

―― 能登半島地震の件で、現地に拠点を立てて、2月の上旬から能登に行かれていたと思いますが、今はもう帰ってきているのですか?
河瀬麻花さん(以下、あさか首相):

私自身は、1月10日ぐらいに初めて現地に行ったんです。

現地で、1月1日から活動している犬の保護団体さんが、被災地でペットを飼っている人たちのサポートに入っているのですが、その中で、犬よりも猫の問題の方が結構深刻だという連絡が入ってきて。

私達(ネコリパブリック)も、避難所に猫を一緒に連れて行けない方などに向けて、「生活が安定するまで、猫の一時預かりを無償で行います」という発信はしていたのですが、(道路が寸断されていて実際のところは)ここ(ネコリパブリック)まで連れて来れないじゃないですか。

そんな中、1件、本当に困ってるお家があって。

どうしても避難所に行かなきゃいけないんだけど、猫を連れて行くことができない事情があって、本当に時間がないっていう案件があったので、もう(ネコリパブリックが)現地まで行こうかってなって。

画像提供:ネコリパブリック

―― それが、1月10日だったんですね。
あさか首相:

はい。

そのときは、テレビで見るよりもあまりにもひどい状況で。

1月10日なので、まだ地震発生から10日しか経ってないから当然ですが、道路はでこぼこで、一本道が多いということもあって迂回ばかリで、飛騨から7時間ぐらいかかりました。

そのときは猫1匹を預かりに行ったんですが、さすがにこれは1匹1匹迎えに行ってたら大変だと思って。

これを毎回やるのは猫にもすごく負担になるし、私達もかなりの時間を取られるので、やっぱり現地に拠点があるといいな、と思っていました。

そしたら、たまたま現地で個人でボランティア活動している知人が、Messengerで、「能登半島でボランティア入りました」みたいなのが、入ってて。

すごい、いたわ!と思って。笑

しばらくはその人に、またこういう案件があったときにお願いして、猫を迎えに行たり運んでもらってたり、かなり動いてもらいました。

それでも5時間ぐらいはかかるから、猫にも人間にもまだまだ負担がかかる。

これはちょっと良くないねっていう話になって、やっぱり拠点が欲しいっていう話をしたら、たまたま地元のおじさんで倉庫を貸してくれるっていう人に出会って。

その人が倉庫を貸してくれるって言ってくれたので、ありがたく借りました。笑

―― たまたま!?(笑)その地元の方にお借りした倉庫が、今ネコリパベース(被災地の拠点)になっているのですね。
あさか首相:

はい。

画像提供:ネコリパブリック

―― 拠点と言えば、今回は「猫のバス」が1.5次避難場所として、大活躍のようですが?
あさか首相:

そうですね。

最初の避難から、次の本格的な避難所に行くまでの間の仮のところを1.5次避難と言います。

ネコリパベース(ネコリパの被災地の拠点)ができたときに、ネスレさんと共同運営している猫のバスは冷暖房完備だから、このバスを1.5次避難所にして、ここに猫が集まったら、猫たちの本格的な避難所としてネコリパベースに移すっていう役割にちょうどいいなと思って。

現地の方のご協力と、ネスレさんのご協力があって、ネコリパベースでもバスでも両方で猫が管理できるような形になりました。

―― ネコリパベースには、今はネコリパスタッフさんがいるのですか?
あさか首相:

はい。

私も行きますが、今はスタッフが交代交代で行くようになっています。

―― 今日は、3月1日なので、地震から2カ月がたちましたが、現地はどうですか?
あさか首相:

それがあまり復旧していなくて。

水道も3月末で復活すると聞いているのですが、周りを見ても工事はまだしていないように見えますね・・・。

電気は来ていますが、ガスと水道が止まっていますね。

水道がないっていうのが、被災者の方にとってはかなり大変だなっていうふうに思います。

画像提供:ネコリパブリック

―― 物資についてはどうですか?
あさか首相:

食料や飲料水といった基本的な物資は割と足りてきているのですが、やはりペット用の物資が少ないですね。

どうしても優先順位がついてしまうので、当然と言えば当然なのですが。

なので、ペット用の物資は、飼い主が自分たちでしっかりと備えておいた方がいいと思います。

人間用だと、生理用品とかコンタクトレンズ(使い捨て)が足りなくて困っていると言っている方も多いです。

―― なるほど。少し時間がたって、足りているものと足りていないものの差が開いてきているのですね。
あさか首相:

はい。

あとは、猫のハーネスや爪とぎが欲しい、という飼い主さんも多かったですね。

餌に比べると優先度は落ちますが、とは言え、どちらも猫にとってはとても必要なものですから。

―― 猫だけに限らず、ペットを受け入れてくれる避難所がまだまだ少ないと思うので、飼い主さん自身が対策を考えておかなければいけないですね。
あさか首相:

そうですね。

何もない時から、災害時に備えて、2次避難所を確保しておく必要があると思います。

例えば、名古屋なら大阪とか東京とか、地理的に離れたところで、せめて猫だけでも預けられる場所を事前に探して契約しておくとか。

離れたところに親戚の方がいて、猫を預かってくれる方はいいけれども、おひとりさまの場合は、そういう場所を探しておかないといけませんね。

私たちも、今回の能登半島地震のように、何かあったときにサポートできる仕組みみたいなものを、都度都度作ろうとは思っているので、こういう(ネコリパブリックのような)ところの問い合わせ先を事前に知っておいたらいいのかなと思うんですよね。

―― 本当に必要だと思います。個人でできることはどうしても限りがありますから、ネコリパさんの活動で救われた飼い主さんや猫たちがたくさんいると思います。
あさか首相:

まだまだ現地で取り残されている猫たちがたくさんいるので、何とか飼い主さんとつなぎたいと思っています。

―― ペットはどうしても後回しになってしまうのは、仕組み上、仕方がないからこそ、ネコリパさんの活動は私たち飼い主にとって、本当に救いになりますね。
あさか首相:

ありがとうございます。

人命最優先なので、犬猫はじめペットたちのことは後回しになってしまうので、逆にそういう行政がやりにくいところを業務委託みたいな形で、行政と上手く連携をとってやれるといいなと思って、動いています。

もちろん今回の震災においても、県庁、保健所、獣医師会などには、最初に挨拶回りに行ってるんですね。

ボランティアに入る前に、「今度からこういうことをやります」っていうのを一旦、ボランティア登録(団体登録)するんです。

ボランティア団体登録を県庁に。

その後に、薬事衛生課(動物管理をするところ)に行ってヒアリングをして、こういう猫のバスの1.5次避難所をやりますっていうのをご案内して。

一番問題なのは所有者不明の猫なんです。誰かの飼い猫かもしれない、所有者不明の猫を無断に県外に移動させるのは良くない。

かといって、被災地ではなかなか猫を救う環境を作るのは難しい。

画像提供:ネコリパブリック

だから、民間のガイドラインを作りました。

所有者不明の猫は被災地ではケアが行き届かないので、保護して県外に出すための。

保護した子たちをちゃんとリスト化してデータベースで残して行政にも提出をする。

かつ、何月何日にどこどこにいた猫が、今はどこにいるのかっていうのが全てがわかるようなデータベースを作るんです。

さらに、例えば譲渡をする場合には、譲渡先には、この子は被災地の所有者不明の猫だから、万が一所有者が現れた場合は返還をする義務があることを、了承した上での譲渡になります。

そういう形で、今後2~3年の間に、この子はうちの子だと証明ができるものがあれば、この間に入っていた団体が責任を持って猫の返還を行うというようなガイドラインを作ったんです。

できる限り民間のことは民間で完結できれば、行政は優先度の高いことに専念できるので。

―― なるほど。この短期間の間に、そこまで仕組みを作られたのですね。あのデータベースはそういう経緯で作られたものだったのですね。
あさか首相:

はい。

まだまだ登録数が少ないので、ぜひ活用してほしいですね。

県外に猫を持ち出した人は、これに必ず登録して欲しいというのを、ずっと働きかけていて。

一番大事なのはやっぱり可視化できることなんです。

どこの団体が何匹保護して、何匹譲渡したかっていうのがちゃんと可視化できること。

そういった可視化したものを、しっかりと行政に提出する。

可視化できると、問題が顕著に見えてきて、今後こういう問題が起こらないために、災害が起きる前に行政と民間が提携しておくことができたらいいな、と。

例えば私達みたいな、この1.5次避難所が使える、というのを事前に決めておけば、どこかで災害が起こったときは、今度はここに1.5次避難所を作りましたって言えるので。

そういう仕組みもちょっと作ってみたいなとは思ってるんですよ。

―― なるほど。ところで、今回1.5次避難所として使われている猫のバスですが、あれは結構前からありますよね。
あさか首相:

猫のバスは、6~7年前からありますね。

そもそもの猫のバスの目的は、猫の譲渡会などのイベントです。

イベント会場とか外とかって、猫の譲渡会を開催するのは難しいし、猫たちにもすごいストレスですよね。

だから、バスの中を保護猫カフェみたいにしてそこで触れ合えるようになったら猫にもストレスが少ないし、いろんなところでできる。

バスの中でやるのなら、臭いとかも気にならないし、他に迷惑かけたりしない。

最初は、トレーラーハウスの中を譲渡会して、トレーラーハウスを牽引車で引っ張っていって、その先で保護猫カフェみたいなのを最初やってたんですけど、トレーラーハウスを移動させるのがめちゃくちゃコストで。笑

機動性が悪い。

だから、ずっとネスレさんに猫のバス作りましょうよって企画書を出していました。笑

―― そんな経緯があったんですね。笑。今回は被災地に行くにあたって猫のバスの内装を変えたりしたのですか?
あさか首相:

いえ、もともと、猫の逃走防止のために二重扉になっていますし、エアコンも完備しているので、そのままです。

発電機も使えるし。

なので、そのままシェルターとして機能します。

―― それはすごいですね。内側は機能性抜群なんですね。外側はどうでしょうか。猫のバスは、見た目もかわいいですが、デザインはどなたがされているのですか?
あさか首相:

猫のバスのデザインは、全部ネコリパ側でやっています。

猫っぽい、三毛猫の柄のバスにしようって。笑

画像提供:ネコリパブリック

―― 猫のバスって、耳ついてるじゃないですか。あれって高さ的には大丈夫なんですか?
あさか首相:

高さ的には大丈夫なんですけど、あれ、走るときはちゃんと取るんですよ。

止まったらつけるんです。笑

超強力なマグネットが、バスの本体側と猫の耳側の両方についていて。

かなりしっかりくっついているので、落ちないですが、走るときは毎回外しています。

―― そうなんですか!!耳外れるんですね。笑。それにしても、あさかさんの行動力には、もうホントにスゴイとしか言いようがありません・・・。できないことなんてないのではないですか?
あさか首相:

できないかもしれない理由は一切考えずに、できる理由だけを考えるようにしています。

実際色々やっていると、結構「こんなこと起こったらどうするんですか」とかよく言われるんですよ。

でも、100分の1でしか起こらないようなことを考えてたら前に進めないから、もうそれは起こったときに考えたらいいですね。

本当にうまくいくことしか考えない。

基本的には、自分が思ってる100のうち90ぐらいでいつも止まる。

だから私はいつも200ぐらいのことを考えるようにしています。

そうすると100ぐらいまでは、軽くいく。笑

―― それは、斬新な考え方ですね。
あさか首相:

そうですか?

超うまくいったらどうしようとか、いつも言ってます。笑

100億円寄付入ったらどうしようとか。

100億円入ったらこういうふうに使ってこういうふうに使って・・・とか考えます。

―― そうすると、50億ぐらい入ってくるかもしれない、と。笑
あさか首相:

そうそう。

―― その考え方、素敵ですね。
あさか首相:

ありがとうございます。

たぶん、スタッフはすごくヒヤヒヤしてるとは思いますけど、でもみんな支えてくれます。

とりあえずやれば何とかなる。

もちろん何が起こったらケツは全部私が拭くよ、みたいな感じで起こってから考えます。

全責任は私が持つから大丈夫、みたいな。

―― 臨機応変力が高いですね・・・
あさか首相:

いや、臨機応変じゃないと絶対駄目ですね。笑

猫生助け合い制度

猫生助け合い制度とは、毎月定額(480円)の寄付で、飼い主に万が一のことがあった場合に、ネコリパブリックが責任を持って、残された猫の新しい家族を探す制度です。

飼い主の死亡だけでなく、短期入院時の預かりや、猫についての相談もサポートしています。

🔽猫生助け合い制度について
https://www.neco-republic.jp/help/necoseitasukeai/

―― 猫生助け合い制度なんですが、あれ、私も加入しているんですが。めちゃくちゃいいですよね?!
あさか首相:

ありがとうございます。

―― 私、この制度があって本当に救われたなと思っていて。私おひとりさまなので、自分が死んだらどうしようってずっと思ってたんですよね。
あさか首相:

ありますよね。

―― もともと、自分が死んだ後どうしようかなっていうのはずっと考えてて、負担付遺贈とか、ペット信託とかいろいろ考えたんですよ。でも誰に託すかっていうのが一番大事じゃないですか。だから、ネコリパさんだったら、わが子を託せるって思って入ったんです。
あさか首相:

ありがとうございます。

―― 猫生助け合い制度って、リニューアルしてだいぶ料金がリーズナブルになりましたよね?ちょっと安すぎなのではないですか?
あさか首相:

いやもう本当に、おひとりさまもそうですけど、高齢者の方がやっぱりね、持ち込む人が多すぎて。

だからもっともっとこの制度を広げたいなって思って。

年金の方でも、気軽に入っていただける金額にしました。

今は200人ぐらい加入者がいるのですが、もっと3万人、5万人ぐらい入ってもらえると、制度も安定もしますし。

安い金額ではありますけど、チリも積もれば、ね。

だから、もっともっと広めたいなと思っています。

―― 正直なところ、あの金額、運営的には大丈夫なんですか?
あさか首相:

そうですね。

安いですけど、結局、もともと保健所から無償でめちゃくちゃ保護してるし。笑

猫はきっといたら保護しちゃうから。

うん。

ちょっとずつでも、もらえたらそれでいいじゃんっていう。

そこからもっともっと何かが繋がって、きっと大きな金額にも繋がる可能性も大いにあるので、今はこれでいいんです。

―― そうなんですね。もう、猫を飼っている人は、全員入ってほしい制度ですよね。
あさか首相:

そうですね。

あれ(猫生助け合い制度)は、まだプロモーションに力入れてないから、これからもっと広げたい、広がってほしいなと思っています。

―― 私自身、死ぬまで猫と暮らしたいと思っているので、年齢で猫を諦めたくない。
あさか首相:

そうですよね。その一番最後のね、孤独な何年間なんてやっぱりつらいじゃないですか。

でも、自分の死後のことを心配せずに託せる場所があったら、自分が死ぬ直前までかわいがられる猫は絶対に幸せだし、だからこそよりいっそう可愛がるじゃないですか。

今後は行政とも連携して、この猫生助け合い制度を活用して、一人暮らしの高齢者の見守りサービスの仕組みも今後作っていこうと思っています。

―― 飼い主も、猫も、幸せになれる「猫生助け合い制度」。広がってほしいです。
あさか首相:

そうですね。広げたいですね。

自走型保護猫カフェ

ネコリパブリックと言えば、自走型保護猫カフェ。
自走型って一体何?と思われる方もいるかもしれませんが、ネコリパの自走型とは、寄付はありがたくいただきますが、寄付だけに頼るのではなく、サービスをお客様に提供することでいただいた対価(利益)で保護猫カフェの運営を賄うというシステムのことです。

この自走型という概念があるからこそ、ずっと新しいプロジェクトや新しい仕組みに挑戦できるんですね。

ネコリパの「自走型」の概念は、これからビジネスを始めようという方にも、とても参考になるので、ぜひあさか首相のビジネス脳を一緒にたどっていきましょう。

―― ネコリパさんと言えば、株式会社として収益をあげつつ保護猫活動をするという、あまりないスタイルでの運営方針ですよね。
あさか首相:

はい。

全体的に、全部とにかくお金が貯まるように、貯まるっていうか残るように、っていうのを前提に動いてます。

だから、保護猫カフェにしても、ちゃんとそこに家賃と人件費が払えるぐらいの売り上げが、各店舗に絶対に必要。

プラス医療費ですね。

医療費がとにかく大きいので、そのサポーターさんを集めるというところも大事にしています。

物販やイベントも収益の柱になっていますね。

―― 収益となる柱をいっぱい持っているのですね。
あさか首相:

ある柱が微妙になってきたって思っても、他の柱が頑張ってくれるとバランスが取れるんですね。

だからコロナのときも、リアルの店舗が全部駄目になった代わりに、ネットショップの方がかなり伸びたから、支えることができました。

イベントもお店もできないってなったら、別の柱に力入れる、というふうにバランスを取りながらやってますね。

とりあえず何か猫に関わる経済活動の全てが、保護される猫たちに使われるべきだ、みたいな考え方があるので、とにかく手広く、できることは何でもやる。

そんな風に、何でもやるから、ちょっと大きい会社に見えるんですけど、中身はネ全部コリパブリック本部のみ。

本部っていうのは私ですから、動く本部みたいな。笑

―― あさかさんのいるところが本部、って感じなんですね。
あさか首相:

そうですね。

―― 1店舗をメインのスタッフが2人ぐらいずつで回してるんですよね。それでこんなにいろんな事業を回してるのだから、少数精鋭ですね・・・。
あさか首相:

ありがとうございます。

スタッフは全員「猫のために働きたい」というマインドを持った人たちばかりなので、基本はブレることはありません。

そんなスタッフが集まって、そんなスタッフの中でどんどん成長していく、という感じですね。

最初はみんなアルバイトで入っている子たちなので、ネコリパの思想が良い!と思って入ってきてくれた人が、店長になっていく。

―― スタッフの皆さんは、ヘッドハントなどで引っ張ってきているわけではないのですね。
あさか首相:

どこかから引っ張ってきた人は1人もいないですね。

―― そうすると、この色々な事業のアイデアは、全てあさかさんから生まれているということですか?
あさか首相:

そうですね。

あとは、社外にも手伝ってくれる人たちがすごくいっぱいいるので、そういう意味では外部にもブレーンがたくさんいるんです。

だから、みんなの力が集まったときは、すごい威力を発揮します。

これからのネコリパブリック

2024年、2025年と、これからのネコリパブリックはどうなっていくのでしょうか?

ネコリパブリックができた2014年から10年。
ネコリパは光の速さで、どんどん新しい事業を成し遂げていきました。
次は、どのようなプロジェクトが始まるのでしょうか?!

―― これから直近でやっていきたいことを教えてください。
あさか首相:

もうすぐ、火葬業が始まるんですよ。ちびびの森の火葬業が3月から。

間もなく火葬車も来ます。

あと、もうすぐちびびの森に道ができます。

―― ついに、お散歩ルートができたのですね!
あさか首相:

ちょっとまだ荒削りなんですけど、これからもうちょっと整えます。

ベンチもできます。

―― 猫の火葬業って、免許とか必要なのですか?
あさか首相:

いえ、猫の場合は不要です。

猫の骨を埋めるのも、自分の敷地内だったら、問題ないです。

―― 先日のクラファンのリターンでもありましたよね。ちびびの森に埋葬する権利。私リターンを買うかどうかすごい迷ったんですよ。でもそのうち事業ができるから、そのときに普通一般料金払って使おうと思って。
あさか首相:

ありがとうございます。是非。

あとはね、先ほどの高齢者の見守りサービスをやりたいなっていう。

今年は高齢者限定の譲渡会をやりたいなと思っています。

東京、大阪、岐阜、名古屋あたりで、高齢者の方で猫を飼うのを諦めてる人向けに、猫生助け合い制度をパッケージにして、やりたいなと。

譲渡した後に、サブスク的に、ペットフードだったりとか、砂だったりとかそういうのをうち(ネコリパ)経由で買っていただけるような仕組みを作って。

その経費でシェルターが賄えれば、今後も継続的にシェルターを増やしていくこともできるじゃないですか。

―― なるほど、どんどんアイデアが出てきますね。それ、めちゃくちゃいいですね。最初って何買っていいかわからない人が多い気がするから、ちょっと安心ですよね。
あさか首相:

病気になったら療法食のセットとか、猫が歳を取ってきたら自動的にシニアのフードに切り替わるとか。

定期便をやっていたら、提携動物病院の定期検診のチケットがついてくるみたいなのもいいですね。

―― そうすると定期検査も忘れないですよね。
あさか首相:

ついでにワクチンも。

―― ええ~。スゴイ。
あさか首相:

あとは直営店っていうよりもフレンドリーチェーンみたいなところを増やしていけたらいいなと思ってて。

例えば各地に保護猫カフェのフレンドリーチェーンができれば、そこに拠点ができることになるので、保護猫を家族にする発信がしやすくなるじゃないですか。

フレンドリーチェーンって、フランチャイズとはちょっと違うんですけど、フランチャイズみたいにまずはうちで研修してもらって、ネコリパブリックとして出店をするみたいな。

ネコリパブリックとしての保護猫カフェが全都道府県にできれば、横の繋がりもできているので、もっといろんなことができるようになるかなっていうのがあります。

要は、拠点が多ければ多いほど、スポンサー企業的にも、それだけ多くのデータが取れるということなので。

―― コンビニ並みに増えると良いですね。笑
あさか首相:

コンビニ並みに増えたら、本当にどこでもペットショップじゃなくて、保護猫からお迎えっていうふうにしたいんですよね。

それだけ拠点が増えたら、日本のどこかしらで災害があったとしても、受け入れ先も融通が利きますし。

―― これから数年もネコリパさんから目が離せませんね!
あさか首相:

そうですね。

やりたいこと、まだまだたくさんあります。笑

楽しい猫助け

あさか首相の著書のひとつに、「楽しい猫助け」という本があります。
ネコリパブリックの進化の過程と、あさか首相の生い立ちがギッシリ詰まっています。
その中から、ネコと終活がちょっと気になったところについて、あさか首相に聞いてみました!

―― あさかさんの著書「楽しい猫助け」で、私が好きなフレーズは「ツメあとを残す」っていうところなんですが、自分たちの活動を知ってもらうための何かしらの引っかかりが必要なんですけど、このツメあとを必ず残すために、こうやったらより深く引っかかるんじゃないかっていうのって、何か考えてますか。
あさか首相:

まずは、何かイベントをやるときに、ツメあとを残したい相手っていうのをちゃんと想像します。

ペルソナ的な感じで、こういった人にツメあとを残すにはどういったことをするべきかみたいなのを考えたりします。

闇雲にね、100%の人に残そうなんていうのはなかなか難しいから、今回は100人の中の、たった1人にさえツメあとを残せば絶対に広がるので、まずはたった1人、どんな人に残したいかっていうのを明確にするっていうのあります。

―― なるほど。
あさか首相:

例えばネコ市ネコ座だと、殺処分とか、そういうところまで深くは考えてないけど、猫は飼っていて、猫雑貨とかを買うのが好き、かわいいものが好きっていう人たちに、殺処分だったりとか保護猫のことを知ってもらうきっかけにするっていう。

―― ライトな猫好きをディープな保護猫の世界に引っ張り込むっていう。
あさか首相:

そうですね。

―― 猫のバスの譲渡会の場合はどうですか?
あさか首相:

保護猫と会う場所って全然ないじゃないですか。

積極的に行かないと保護猫には出会えない。

でも積極的に行かなくても、こんな場所があるんだっていうふうに思ってもらう。

もちろん譲渡もとても大切なポイントなんですけど、何これっていうふうに、まず知ってもらう。

猫のバスには、保護猫が家族と出会うバスって書いてあって、こういうところ保護猫の譲渡会があるんだとか、バスの外から猫たちを眺めて、こんなかわいい子たちいるんだっていうのを知ってもらうためのものでもあるっていう。

猫のバスっていうのは、とにかく一般の人たちにも保護猫のことを知ってもらうきっかけ作り。

それで譲渡もできればウィンウィンっていうようなイメージで。

本当に猫が好きで、猫の動画とかを見ている、そういうライトな方々に、ネコリパの活動とか保護猫のことを知ってもらうっていうところは重要視してますね。

一方で、私達の活動を支えてくれる方々はディープな方々なので、そのディープな方々に対しても、ちゃんと自分たちが実績というか、活動しているっていうことをしっかりと発信していくっていうところ。

―― なるほど。ネコリパさんの活動は、たくさんありますが、全てしっかり各々のターゲットを決めて、何のためにそれをやるのかもしっかり意識して、ターゲットに刺さるように計算されているのですね。
あさか首相:

そうですね。

あまり意識してやってはいないのですが、今回のように取材形式で聞かれると、無意識にちゃんと考えていたみたいです。笑

ネコリパブリックの未来

ここまで光の速さで突き進んできた、ネコリパブリック。
その目指す未来の先には、どのような景色が広がっているのでしょうか?
私たちも、ネコ飼いとして、その未来を一緒に見届けたい!
おしえて!あさかさん!!

―― 最後に、ネコリパブリックは、10年後、20年後にどのようになっているでしょうか?
あさか首相:

10年後には、まずねこの殺処分は絶対ゼロになっているはずです。

もちろんネコリパの施設も、もうちょっと増えていて、かつ、保護猫を家族にすることが、もう当たり前な感じになればいいなって思ってるんですよね。

1年間で、販売とか譲渡されている猫の数は47万5000頭いるんですよ。

―― 全国で?
あさか首相:

そう。全国で、いろんな保護団体と合わせて47万5000頭。

ペットショップが大体15%、ブリーダーが7%で、シェルターとか譲渡マッチングが14%しかないんですよ。

―― 意外と少ないですね?
あさか首相:

で、友達・知り合い間での渡し合いみたいな、いわゆる「拾ってあげる」が64%。

―― そんなに・・・。
あさか首相:

そうそう。

でもこのペットショップで売られてる15%っていうのが、47万5000tの15%だから、結構な数なんですよ。

今殺処分されてる猫って9800頭まで減ったんですね。

ということは、ペットショップに行くんじゃなくて、こっち側(保護猫の譲渡)に来る人たちをもっと増やせば、殺処分は絶対ゼロになるな、というふうには思っているんです。

あとは、多頭飼育崩壊にならないような、例えば、経済的に困っている人が、猫の不妊手術を無料で受けれる仕組みとかっていうのができればいいんだろうなと思ったら、猫の避妊手術や去勢手術は、最終的には国負担で全員無償にしたらいいなって思うんです。

―― そしたら飼育崩壊も起きないですね。
あさか首相:

そんなふうになっていたいな、と。

10年より前にもっとそういうふうになって、もう、受け皿もあり、あとは蛇口も締めつつ、継続していく。

ネコリパブリックのような保護施設っていうのは、絶対必要だと思うんですよ。

やっぱり猫生助け合いとかで受け入れたりするためとか、譲渡マッチングのために必要な施設なので、必ず必要でそれがちゃんと継続できるように、ちゃんとサブスクみたいな形で、継続していきたい。

今は私のマンパワーなのかもしれないんですけれども、それをもうちゃんと10年後ぐらいにはもう仕組み化してしまいたい。

ビジネスモデルとして成り立つようにしておきたいなと。

将来どこかのタイミングで、事業継承していかないと、猫たちの場所がなくなると困るので。

だからそういうのがちゃんとビジネスモデルとして、欲しいと思ってもらえるような、ちゃんとした基盤を作って。

もちろん後継者が生まれれば、後継者がやることになるんですけれども、もしそうであったとしても、その1人に負担が行くんじゃなくて、ちゃんとこう回る仕組みになってやっていくっていうふうにしたいな、と。

―― ネコリパさんは、まだまだ発展途上。これからどんどん新しいサービスを生み出しつつ、それをしっかりと仕組み化して行くということですね。
あさか首相:

はい。

だからこれからも走り続けます。

―― とても長いお時間、たくさんの参考になるお話、ありがとうございました。この想い、しっかりと読んでくれる方に伝えたいと思います。
あさか首相:

はい。

よろしくお願いします!

インタビュー取材を終えて

ネコと終活が、ネコリパさんにインタビューをさせていただきたいとお願いしたときに、快く引き受けてくださったあさか首相。

とにかく熱く、猫愛を語ってくださいました。

ネコと終活の、どんな質問にも嫌な顔一つせず、ひとつひとつ丁寧に、回答をしてくださいました。

そして、あさか首相のお話を聞いていくうちに、なんというかこの言葉の端々に感じられる「熱量と勢いとスピード感」そして、ご本人は無意識とおっしゃっていますが、「無意識の裏側にしっかりと計算されつくした戦略」。

インタビュー取材をさせていただいている私は、まるで一つのビジネスの講義を受けていると錯覚してしまうような、とても有意義な内容でした。

猫を愛する人の目線で楽しむことはもちろん、起業を志す人にも刺さる、とても素晴らしい記事になりました。

あさか首相、今回は本当にありがとうございました。

ネコと終活は、ネコリパさんの活動をこれからも応援し続けます!

あさか首相の取材風景

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