【前編】猫 × 建築 = ねこ大家?猫が幸せになる家づくり~「想いをつなぐ」インタビュー(第2回)~

世の中のネコ愛の強い方々の活動を取材して、その想いや素晴らしい活動内容などを紹介する、ネコと終活2024年の「想いをつなぐ」企画。

第2回は、ねこ大家(株式会社ねこ家)の池田様、岡本様にお話を伺いました。
(快く取材を引き受けてくださり、本当にありがとうございます!!)

🔽ねこ大家様ホームページはこちらから
https://necooya.com/

建築の力で猫を幸せにするというミッションを掲げ、猫と飼い主さんが快適に暮らせる素敵なお家をたくさん建てている、ねこ大家様。

ただ猫と一緒に住むのではなく、猫の習性を正しく理解し極限まで猫のストレスを減らした仕組みやアイデアを満載した、人も猫も健康で長生きしながら共に暮らせる家づくり

保護猫活動を通して気づいた、猫と一緒に暮らせる家が圧倒的に少ないという事実。

そこを変えたい!と日々奮闘する、ねこ大家様の想いを取材させていただきました。

今回も、超大作になってしまいましたので、たっぷりと、ねこ大家ワールドを堪能していただければと思います!

猫が大好きな飼い主さんが見れば、誰もが瞬時に納得する、ねこ大家様の手がけるお部屋の間取りと動線。

そんな素敵なお部屋の根本には、ねこ大家様の一貫した想いがあります。

今回の記事を通して、ねこ大家様の想いを読者のみなさまにも是非知っていただけたら、とても嬉しいです。

▶▶▶ 本記事は【前編】です。後編はこちらのリンクからどうぞ。

目次

もはや絵本?!ねこ大家様ホームページ

今年、ねこ大家様のホームページが出来上がったのですが、こちらのホームページ、なんとまるで仕掛け絵本のようなんです!

トップページをスクロールすると、木々が左右に分かれて猫たちが乗ったブランコが出現したり、実績紹介のページのネコリノベ紹介では、お家のイラストの各種パーツ(キャットステップやキャットウォーク等)をクリックすると詳細な説明が見られるなど、まさにデジタルの仕掛け絵本。

ただ「見る」のではなく、「観る(+感じる)」という言葉がふさわしい、ねこ大家様のホームページは、猫を飼っていない方も必見です。

🔽まるで絵本!な、ねこ大家様のホームページ
https://necooya.com/

―― このような素敵な仕掛けやホームページの構成などは、ねこ大家さんがご自身で考えられているのですか?
ねこ大家様(以下、ねこ大家):

イメージは全てうち(ねこ大家)が考えています。

実際に絵を描いてくれる方は、当然ですが建築の専門家ではないので、建築のことがわからない。

だから、僕らがその辺も踏まえた上で、イメージを伝えて、描いてもらっています。

そのあと、うちが最終チェックしてOKだったら、Web制作会社に回して、そのイメージに合った動きを付ける、という感じで作っていくので、出来上がるまでに1年くらいかかっています。

―― わわ!それは、結構かかりますね。
ねこ大家:

そうですね。

―― ねこ大家さんのホームページで私が一番好きなところは、ネコリノベの紹介ページで、お家のイラストで気になるパーツをクリックすると説明がピョンって出てくるところです。すごくかわいいのはもちろんなんですけど、なによりも分りやすいなって思って。
ねこ大家:

僕たちの活動を知ってもらうためには、ある程度テキストを書き込まなければいけない部分はどうしても出てくるじゃないですか。

でも、テキストが多いホームページは、やっぱり読むのに疲れてしまう。

X(旧Twitter)とか好きな人だったら、文字ベースでもいいんでしょうけど、絵とか視覚ベースで物事を見られる方も多いと思うんで、そういう方たちに、なるべくストレスなく読んでもらえるような工夫はしたつもりです。

―― ホームページやインスタ等でも書かれていると思いますが、ねこ大家さんは以前保護猫活動をされていた時に、「猫の住めるお家が少ない」ということに気づいて、それが今の事業につながっているということでしたが、もともとは一般建築の事業をされていたのですか?
ねこ大家:

そうですね、建築と不動産と大家業です。

―― 以前は猫とは関係なく、一般物件、つまり人のための住宅に関わる事業をされていたということですよね。
ねこ大家:

そうです。

普通の建設業と不動産業と大家さんです。

―― 今は、もう猫専門に事業を展開されているのですか?
ねこ大家:

一般も受けているんですけど、猫の依頼が多いので、一般はもう受けられないっていうか、後回しというか。

あとは、信頼できる業者さんを紹介したりとか。

―― そうなんですね。猫物件の依頼がかなり多いのですね。ところで、YouTubeなどを拝見していると、時々にゃん吉不動産という言葉が出てくるのですが、こちらはねこ大家さんとイコールで合っていますか?
ねこ大家:

合ってますよ。

昔は名前が決まっていなかったので架空(仮)でやってたんですよね。

不動産とか建築って、やっぱりちょっと堅苦しいのと、自分で言うのもなんですけど、胡散臭いっていうイメージはあるじゃないですか。

昔からね。

だから、なるべくもっと柔らかく知ってもらいたいなって。

かといって、事業とかけ離れた名前にしすぎると分からなくなるので、分かりやすいように「にゃん吉不動産」って言ってみたり、「ねこ大家」って言ってみたり、何年も試行錯誤しながらやってきたんですよね。

―― そういうことだったのですね。そうすると、今はだいぶ「ねこ大家」さん側に統一してきてる感じですね。
ねこ大家:

そうですね。

そっちの方が、どちらかというと認知されやすいというか、字面で分かりやすいというか。

ねこ大家様の世界観がとんでもなくカワイイ。
(ねこ大家様特製クリアファイルより)

―― 確かにです。にゃん吉不動産とねこ大家さんは同一なのかな?と思ったのでちょっと今回の機会に聞いてみました。
ねこ大家:

結局、過去のYouTubeとかは書き換えられないじゃないですか。

そういう部分って。

なので、それはもう、そういう1つの形として残っています。

―― ということは、にゃん吉不動産もねこ大家さん。
ねこ大家:

そうですね。

ネコリノベ~猫のための家を作るということ(人のための家との違い)~

ごくごく一般的な、人のための家。
これが、猫と一緒に暮らすための猫と人のための家になると、どういった違いが出てくるのでしょうか。

「猫と暮らす」ということは、猫と人が一緒に住むことができればいい、ということではないのです。
猫と人の違いを理解し、猫という生き物の習性を理解し尽くしているねこ大家様だからこそできる、猫と人の成長に追従する家づくり。

猫の習性を熟知した上で、「今」の人と猫のライフスタイルにフィットする家を作る。
そして、時と共に、猫も人も家も歳を重ねると、生活スタイルが変化し、家も少しずつ傷んでくる。
そのタイミングで、またそのときの状態にフィットするように、家をメンテナンスしていくのです。

建てて終わりではなく、建てたところからが始まり。

―― ねこ大家さんとして活動し始めて、猫ファーストの家を作られていると思いますが、今までは一般住宅だったのが、猫に特化した住宅を作るということになるじゃないですか。日本の建築の法律などにおいて、猫ファーストで作ることによる、課題や障壁などはありますか?
ねこ大家:

そこはないですよ。

建築基準法の範囲の中でやることなので。

ただ間取りは完全に変わってきますので、どちらかと言うとそっち側ですよね。

人だったら使いやすい動線を、「猫と一緒に暮らす」という前提が入ることによって、その動線を変えていく作業になってくるので、住む方にもよりますが間取りを大きく変える必要もでてきます。

間取りを大きく変えるんだったら、家の外観も変わってくる。

でも、それもやっぱり建築基準法とか条例とか、そういうのを守った上でやる話なので(問題はありません)。

もし、そこに関して問題があるとすると、作り手側が混乱する、ということですかね。

大工さんとか、職人さんたちが、そういうこと(猫ファーストの家づくり)をこれまでずっとやってこなかったので、「なんでこんなことやるんですか」「なんでこんなもの作るんですか」とかって言ってくる。

理解してもらうために、何度も説明をする必要があります。

その辺が浸透するまでには、もう少し時間がかかるのかなというところですね。

―― そうなのですね。例えば、人専用住宅と猫ファースト住宅で全然違うから、作る側が本当に困った!っていう経験などはありますか?
ねこ大家:

それはもう、一番はキッチンですね。

もう何年も前から、キッチンってオープンにするのが当たり前じゃないですか。

カウンターキッチンやアイランドキッチンにして、とか。

それを全く逆にするわけですよね。

そうなると間取りやキッチンの配置を工夫する必要があります。

クローズにするってなると、なんでそんなことするの?ってなるんですよ。

しかも、扉もつけるの?って。

―― 確かに!そうなりますね。笑
ねこ大家:

扉の数が増えれば増えるほど、扉の取合いとかも出てくるじゃないですか。

あとは扉が多くなるってことは、例えば脱走防止柵とかですけど、人が動くにはひと手間ふた手間が増えますよね。

―― ああ、確かにそういうことになりますね…。
ねこ大家:

そうなんです。

だから、人だけだったら絶対ないものとか、普通は開放的にするものを、間仕切りを増やしていくとか建具を増やしていくっていう作業になってくるので。

―― 住む人のアクションが増えるということですね。
ねこ大家:

向こう側(の部屋)へ行くのに1個扉を余分に開けなければいけないとか、外に出るのも普通は1個扉を開ければいいだけなのに、2つ開けなければいけない、となると、猫とか動物を飼ってない人は面倒くさいしかないと思うんですよ。

―― 私は猫飼ってるので、なんかそこは面倒くさいとあまり思わないんですけど、確かに飼ってらっしゃらない方からすると、めんどくさいってなりますね。誰のための家なのか、ということで大きく変わってくるのですね。
ねこ大家:

そうです。

ネコリノベって言っても、単純にキャットウォークとかキャットステップをつければいい、というわけではないんです。

猫の年齢や飼い主さんの生活習慣によっても変わります。

猫が爪を研ぐという習慣は変えられないから、爪を研いでもいい素材を使うとか、ちゃんと猫の習性を熟知してやらないといけない。

――爪とぎと言えば、漆喰だと猫がひっかかないというか、ひっかきにくいと聞いたのですが、やはり漆喰って猫はひっかきにくいんですか?
ねこ大家:

ひっかくきっかけがつきにくいって言うのはありますし、あとは上からすぐに二度塗りできるから修繕がしやすいですね。

―― よく腰壁のところを猫のひっかきに強い素材を使うって言うお話も聞きますよね。
ねこ大家:

そうですね。

でも、それも、全部やる必要はなくて。

ブロックの部屋(※ネコリノベの1室で、部屋に箱がジャングルジムのように積みあがっていて、それに囲まれた空間を書斎としている部屋)も一部腰壁をヘンプ材でやってるんで、猫はそこで爪を研ぐでしょうね。

研ぎやすいんで。

▶▶▶※ブロックの部屋はこちらのリンクからうぞ(ねこ大家様のインスタに飛びます)

爪とぎぐらいの粗さがあるんでね。

あれも実際、10年ぐらい使ってる人の話を、ねこ大家スタッフが聞いてくれたんですよ。

経験者が10年経っても全然大丈夫って言ってたんで、それで採用しましたね。

実際の使用頻度の詳細まではわからないですけど、10年たって張り替えてないって言ってたし、最悪そこだけ張り替えても良いじゃないですか。

―― 全然いいですよね。
ねこ大家:

そのために(猫が爪を研いでもいいように)やってるわけなんでね。

ただ、あの素材は、なかなかダメージいきにくいかなって思いましたね。

―― 結構おすすめ素材なんですね。
ねこ大家:

おすすめだと思いますし、爪とぎを他で絶対されたくないんだったらそれにして、張り替えるっていうのはいいんじゃないですかね。

見た目が気になる方はその部分だけ3年に一回くらい張り替えてもいいですしね。

―― 将来を見越して、人も猫も家も変わっていくことを前提に、間取りを考え、建材を選び配置していく。猫と人の成長に家が追従していく、という考え方、とても素敵ですね。

猫の変化に追従する家の作り方

人間同様、猫も歳を取ります。
子猫のときや若いときにできていたことが、徐々にできなくなってきます。
キャットステップやキャットウォークが付けてあったら、そのうち登れなくなったり、最悪足を滑らせて落ちてしまうことも。
猫と人のライフステージの変化に応じて家側を合わせられるのも、ねこ大家様のネコリノベの特徴のひとつです。

―― ねこ大家さんの物件は、天井付近を壁に沿ってぐるっと回遊する長いキャットウォークがあって、とても素敵だなって思うんですけど、猫が高齢になって、足腰が弱ってきたりすると、落ちる可能性も出てくると思うんですね。作ったときは、猫も若くて元気で運動能力も高いから、全く問題のない作りでも、猫が歳を取ってきたときにお家をどういう風にしていったら、老猫がしっかりと楽しみつつ、危険度を下げることができるのでしょうか?
ねこ大家:

その対策はかなりやっていますね。

実は、インスタにあるような、賃貸向けでキャットウォークが上にバーッてある物件っていうのは、1歳から5歳までの遊び盛りの猫ちゃんをイメージして作ったお部屋なんですよ。

―― そうなんですか!!
ねこ大家:

この事業を始めた頃は、猫可賃貸を周知したいこともあり、人の目に付きやすい見栄えの良い部屋を作りました。

だから、賃貸の場合は、それぞれの部屋の設備に合う年齢の猫を、ちゃんと飼ってほしいんですよ、僕らは。

なので、キャットウォークがない猫の部屋もあるんですよ。

老猫のいる方は、そういう部屋に住んでくださいっていうイメージなんですね。

こういうカウンターまでの高さ(下の写真右側:だいたい腰壁くらいの高さ)のもので構成しているようなお部屋もあります。

写真はねこ大家様事務所。右手側に作業カウンターがあります。

―― 確かにこのくらい(カウンターの高さ)だったら、最悪落ちても怪我しないですもんね。
ねこ大家:

でも、猫が歳を取ったからといって、全く上下運動しないっていうのは絶対駄目だと思うんで、この腰の高さまでのものぐらいとかだったら、10センチピッチにして、足腰が弱っていたり、目の見えないような子でも上がれるようにします。

―― なるほど!例えば、一軒家の場合で、最初は子猫を飼ってたのでこういう(高い位置にキャットウォークがあったり、猫がアクティブに遊べる)仕様にしていたとして、10年たって猫が老いてきた場合などはどうなりますか?
ねこ大家:

変えますね。

―― (キャットウォークを)取っちゃったりするんですか?
ねこ大家:

いえ。

設計の段階で、まずその方が飼われている猫の年齢とか、数とか、今後猫を増やす予定があるかっていうところまで、ある程度全部ヒアリングするんですね。

その中でまず、まだ1歳ぐらいだったら、まず5歳ぐらいまでをめどに設備を作るんです。

どこに下地が入ってるかは、全部分かっているので、それが10年15年になったときにどういう設備にしていくかっていうのは、もう先にお話をしておいて、その必要が来たときに連絡くださいってことで。

そのときにリフォーム行きますって。

―― 猫の年齢に合わせて家もどんどん変わっていくんですね。
ねこ大家:

実際、5年とか10年ってなってくると、家も少しずつ傷んでくるんで、ちょうどいいタイミングでもあるんです。

壁は漆喰でやることも多いんですけど、クロスを貼っているところもあるんで、そういうところで何かちょっと気になるところがあれば、張り替えやりましょうかっていうような。

―― すごくいいですね!猫とともに家も成長していく。ちゃんとメンテできるっていうのはいいですね。
ねこ大家:

そうなんですよ。

猫がお空に行ってしまったら、新しく若い猫が入ってくるかもしれない。

そしたら、またそういうふうに家を猫の状態に合わせて、やっていけたらいいんじゃないかっていう。

だから、家と猫と人がずっとお付き合いできるような、そういうコンセプトでやってますね。

―― わぁ~。すごく素敵ですね。
ねこ大家:

作って、ぱっと売って終わり、っていうのが、一番無責任というか。

―― わかります。
ねこ大家:

大体の人が一番高い買い物じゃないですか、家って。

―― 一生に1回ですからね。
ねこ大家:

ですよね。

だったら、もうずっと使えるようにするべきだし、家を買った後、どう猫と過ごしていって、どういうふうな使い方をしたかっていうのが、僕たちもそれを知ることによって次の人たちに還元できるじゃないですか。

だから、今できる人に全部力を使うんですけど、そこから得た情報だったり経験というのは、次の人たちに使っていく。

―― 世の中がそうなるといいですね。猫だけじゃなくて、犬とかペットとか。家と猫と人がずっとお付き合いできるサイクル、回っていってほしいです。
ねこ大家:

そうですね。

―― ちなみにあのキャットウォークとかって、足の裏に毛がボーって生えてて、滑りやすい子とかには、何か滑りにくくする方法はあるんですか?
ねこ大家:

塗装の種類によって、滑りやすい塗装と滑りにくいのがあるんですよ。

滑り止めのスプレーや塗料もあります。

他にもカーペットを貼ることもできます。

―― 滑り止めはざらざらするような?
ねこ大家:

そう。引っ掛かりができる。

使っていると、それがちょっとめくれてきたりするんで、またシューっと(スプレーを)やってもらうっていうのもいいでしょうし。

とは言え、めくれるところというと、大体ステップで一番力の入るところぐらいかな。

大きくジャンプをするところは、すごく踏ん張るんで、そういうところがめくれてきたりとかするんですけど。

―― なるほど、そんなスプレーや塗装があるんですね。(実際キャットステップを触らせてもらうと、確かに少しざらざらしていました。)
ねこ大家:

それでも滑る子には、カーペットを上から貼るって言うのも一つの選択肢かな、と。

―― 結構お悩み別に色々対策できるんですね。
ねこ大家:

できます。

―― キャットステップの高さは、猫によって変えるのですか?
ねこ大家:

そうですね。

基本的には飼われている猫をベースに設定はするんですけど、あとは、用途によって分けるんですね。

同じ猫飼ってたとしても、乗り口が二、三ヶ所ある場合っていうのは、同じような間隔にはしないんですよ。

―― わざと分けるんですね。
ねこ大家:

分けます。

パパッて登れるところや少し踏ん張って登るところを分けたりしながら、緩急をつけるっていうのはやるようにはしてますね。

ステップの横幅とか、そういうのも場所によって変えていきます。

―― 横幅ですか?
ねこ大家:

例えば、一方通行の上の方には、横幅の広いステップを採用するのはあまりオススメできません。

―― ダメなんですか。
ねこ大家:

なぜかというと、ステップはキャットウォークなどの上部の空間にアクセスする「登る降りる」という作業を目的としています。そこで居座られると、渋滞が起こる可能性があり、後ろにいる猫たちが困ります。

多頭飼いのときって、その先に行けなくなるんですよ。その子がいると。

だから、居心地を敢えて悪くするんですよ。

ステップは上り下りのため、と決めます。

ただ、登り降りするところが二、三ヶ所ある場合は、そういうのを無視して登りやすくて安全な広めのステップを作ったりもします。

それはもうその時々で全部変えています。

―― すごい。居心地をあえて悪くするっていう発想が絶対猫飼ってる方じゃないとわからないですもんね。
ねこ大家:

キャットウォークも、ここはもうササっと歩いてほしいところは幅(奥行き)は狭くするんですよ。

そしたら歩くことしかできないので。

―― 通り過ぎるから、渋滞が起こらない。
ねこ大家:

はい。

そういうのはやりますね。

―― 横幅以外にも奥行きの幅まで考えられているんですね…!!なんとなくキャットステップ作ってって依頼すると、猫のことをあまり知らない人は何も考えずに作っちゃうところを、そこまで計算され尽くされているなんてすごい。
ねこ大家:

もういくつもそういうのを作ってきているので、やっぱり経験は必要ですよね。

―― ちなみに、標準的な幅(奥行き)というのはあるのですか?
ねこ大家:

ありますね。

猫によってというよりは、どんなネコでも居心地の悪い幅というのがあって。

そこ(下の写真のキャットステップ)は全部奥行き25センチで作っているんですけど、歩かせる一部分だけだったら15センチで設置したりとか。

15センチだと本当に歩くだけですね。

ねこ大家様事務所の壁にはキャットステップなどのねこ設備がたくさん。

25あればすれ違える、30出すと圧迫感が結構出てくるんで、やっぱり家の広さとかで考えて設定していくって言う感じですね。

ただ、保護猫施設さんとかだと、30出したりします。

―― 30出すとくつろぎますか?
ねこ大家:

くつろぎますよ。でも(他の子も)通れるから。

―― そこ(事務所のキャットステップを指して)は25ですけど、くつろぎますか?
ねこ大家:

くつろぐし、通り抜けられるんですけど、ただ、くつろげる場所をゴールで作ってるんですよね。

なので、真ん中でくつろぐことはまずないですね。

―― そういうことなんですね。もっとくつろげる場所があるなら、そこに行く。
ねこ大家:

そうなんですよ。

猫って四方八方から身を守るっていう習性あるじゃないですか。

だからその習性で、自分たちを守れるようなところに入る。

なので何気なく作ってるっていうのは基本的にないんですね。

―― 全てに意味があるんですね。
ねこ大家:

ステップも、今これ(事務所のキャットステップを指して)はあの角面で揃ってるんですね。

でも、これも、中に入れ込んだり、外にちょっと出したりとかっていうのはします。

高い位置のキャットウォークとかは、踏み外しても大丈夫なように入れ込んでしまうとかっていうのはありますね。

ステップ1つとっても、配置と動線をどういうふうに設計するか、一番そこは難しいと思います。

―― 特に猫の場合は犬と違って上下もあるので、考えるポイントもたくさんありそうです。
ねこ大家:

部屋の中を猫の街作りみたいなイメージで作るっていう感じですよね。

犬は毎日散歩でストレスを発散しますけど、猫は家の中でストレスを発散させてあげないといけないので、余計難しいと思いますね。

―― 今は完全室内飼いが当たり前になってきているので、家の中で猫を満足させてあげられる、ということは大事ですね。

ねこ大家 ✖ 保護猫活動

ねこ大家様は、保護猫活動をされています。
捕獲から里親探しまで、一通り保護猫活動を経験する中で、気づいたこと。
それは、建築と不動産の力で、猫も人も幸せにするんだ!という強い想い。
保護猫活動と建築?と不思議に思ったあなたも、この記事を読み終わるころには、その関係性がわかるはず。

―― ねこ大家さんは保護猫活動をされていたのですよね。
ねこ大家:

保護猫活動を最初っから最後まで基本全部やったんですよね。

まず捕獲から。

病院連れて行って、お世話して、里親さんの募集をして、里親さんの家とかチェックして、精査させてもらって、それで最終正式譲渡までやって、そこから子猫の場合は半年後くらいに避妊去勢したかのチェックと証明書出してもらう、というこの流れを36匹分行いました。

―― 個人でされていたのですか?
ねこ大家:

うちの岡本と2人で会社でやった感じです。

36匹分やった中で、不動産と建築の力で猫を幸せにできるのではないかと気づいたんですよね。

―― 不動産と建築の力、ですか?
ねこ大家:

保護猫活動って、やってみるとすごい大変なんですよ。

言い方悪いですけど、皆さんこれを個人でやってるのかと。

僕たちは会社もやってますし、それなりに自分で使えるお金もあるので、全部自分たちでやってたんですけど、これを個人でやるのはキツイって言う風にまず思ったんです。

それと保護猫団体の人たちと話したら、猫を飼いたいけど猫を飼える家がないから、という理由で里親さんがなかなか見つからないって言う。

こういった保護猫団体さんとの交流であったり、自分らが里親を見つけていくうちに、実感が出てきたんですよ。

預かりさんやミルクボランティアさんは、凄く大変な役割ですが、やる気と時間があったら、僕じゃなくてもできると思います。

捕獲しに行くのとか、病院連れて行くのとかだって、僕じゃなくてもできる。

じゃあ、その人たちができないのは何なんだって言ったら、さっきその人たちが口に出した「里親さんが見つからないのは、猫を飼える家がないから」っていうところ。

それができるのは僕だけだということに、そこで気づいたんですよね。

ねこ大家様特製のステッカー(カワイイ)

だから僕らはそれを作る側に回る、出口の方を担当しよう、と。

団体さんたちは入口から出口手前までのところをやってる。

保護猫活動は、野良猫を捕まえて世話をしてっていう大変なイメージがあると思いますけど、里親さんを探すことも同じく大変です。

猫が飼える家が少ないため、最後の出口が狭すぎるんですよ。

だから、それをぐわっと広げる作業を、不動産と建築と保護猫活動をやってきた僕だったら多分できるから、保護猫活動の最後の部分(猫と暮らせる家を増やす)を僕らがやるっていう感じです。

一般的な保護猫活動のイメージは、見つけて、捕獲器で保護して、お世話して、里親探しっていうのがメインだと思われてますけど、僕も保護猫活動やってると思っています。

自分自身では、猫と暮らせる家を作ることで、里親さんが見つかる可能性が増えると考えています。

なので、その最後の部分を担当してると思ってやってます。

―― やっぱり出口も大事ですよね。出口が狭いと、入ってきても溢れちゃう。
ねこ大家:

そうなんですよ。

それなのに、どうしてもこの子、外から中に入れたいんだけど、今もういっぱいという話ばっかり聞くんです。

それでも今、何とか皆さん頑張って里親さんを探しているじゃないすか。

でも、それは、戸建てとかでもうすでに2、3匹飼ってるところに、もう1匹足していってることが多いんですよ。

持ち家で猫が飼える人に、上積みで負担がいってるんですよ。

だから、新規で飼える人を増やさないとだめですし、そのためには飼える家も増やさないといけません。

猫飼育可能な家が増えれば、猫飼いたいっていう人も増えるわけなんですよね。

そしたらその0匹の人に、2匹3匹行く方が、5匹の人に2匹3匹プラスで行くよりかはよっぽど良いじゃないですか。

―― そっちが絶対いいですね。
ねこ大家:

今の状態だと、なんとか出口に出してるんだけど、それって実はあんまり解決になってない。

だから、解決する方に、持っていかないと。

表面上、解決したようにに見せてるんだけど、解決になってないんですよ。

見た目上、減ってるだけであって。

だったら僕らがそこをやる、と。

でも、出口を作る人たちが、身銭をかけて、大赤字で垂れ流してやってるってなったら、これ誰もやらないんですよ。

だから、儲かってる大家さんが一部いるっていうふうになったら、何で?っていうところを見せないと駄目なんですよね。

つまり、大家業をやってる人が、空室に困ってて、それをやることで今までもらえなかったものがもらえるようになるんだったら、やっても全然損じゃない。

―― いや、絶対いいと思いますね。
ねこ大家:

ですよね。

だから僕たちは、そこを繋げないといけないんですよね。

―― 繋げる、とは?
ねこ大家:

そのためには、成功事例をたくさんたくさん作って、それを見せるっていうこと。

昨日鹿児島からこちらまで相談に来られた方がいて、色々話を聞いて。

―― 鹿児島ですか!(※ねこ大家さんは大阪です。)
ねこ大家:

結局、やりたい人が来るっていうのが、それが僕は答えなのかなとは思ってますね。

―― インスタとかYouTubeとか、やっぱり知ってもらうって大事ですよね。
ねこ大家さんの活動をまだ知らない世の大家さんたちが、ねこ大家さんの活動を知ったら、全国各地から色んなご依頼が来ることでしょう。ねこ大家さんがもっと認知されて、どんどん猫飼育可物件が増えることを祈るばかりです。

ネコ飼育可のアパートはなぜ増えないのか?

猫飼育可の賃貸物件って、めちゃくちゃ少ないと思いませんか?
猫を飼っているときに、引っ越しをしたことがある人はわかると思いますが、新しいアパート探し、苦労しましたよね?
猫の飼育頭数はどんどん増え続けているのに、猫と一緒に住める家がこんなにも少ないのは何故でしょう?
実はそこにはちゃんと理由があったのです。

―― 私、猫2匹飼ってた時に、当時アパート探す段階ですごい苦労したんですね。犬だったらいいけど猫はダメ、とか、猫1匹だったらいいけど2匹は駄目っていう。ねこ大家さんは、貸主さんとお話されることが多いと思うのですが、やはり猫、嫌ですっていう方多いですか?
ねこ大家:

そうですね。

でも、それも嫌だっていう自分なりの信念があって言ってるわけではなく、巷で皆さんがそう思ってるのをそのまま受け取って、それを言ってるだけなんですね。

猫駄目って言ってる人たちっていうのは、猫を1回も許可したことない人が大半です。

経験をしてないのに駄目って言ってるだけなんですよね。

昔ひどい目にあった、っていう人が言ってるならまだしも、大半の人は、犬猫不可のマンションしか持ってない方。

とりあえずそれ(ペット不可)を言っとけば、今よりマイナスはないっていうのはあるので、仕方がないというか、もう文化の問題ぐらいに今なってるんじゃないかな、と。

―― そうなんですね。ねこ大家さんのところにネコリノベをしたいですって来られる方は、たぶんほぼほぼ猫OKな感じで来られるに違いないと思うんですけど、逆に猫ちょっとあんまり、みたいな方がお願いしに来られることって言うのはあるのでしょうか?
ねこ大家:

それが、あるんですよ。

―― えッ?あるんですか?
ねこ大家:

それはなぜかというと、もう四の五の言ってもいられないくらい、マンション経営が傾いてきた人たちです。

―― なるほど。再起をかけているのですね。
ねこ大家:

そうなんですよ。

本当はペット不可が良いんだけど(仕方がない)、っていうね。

例えば、猫が好きじゃない人とか、世の中の住環境がどうこうとかってあんまり考えてない人が地主さんで、それが2代目で、賃貸マンション持ってますってなった場合、今、ペット不可だけど、満室だったら、余計なことする必要ないじゃないですか。

上手くいってますよね。

まずこの状態が基本形なんですよ。

―― はい。
ねこ大家:

住環境を緩和していく中で、犬OKとか猫OKだとか、他には退去したら、リノベーションするとかって言うのは、よその物件と比べて「競争力をつける」ってことなんですよね。

―― なるほどです。
ねこ大家:

じゃあ、競争力つけるのは何でかって言ったら、空室が嫌だからなんですよ。

そこはもうビジネスに直結してるので。

僕自身も20年大家業をやってるんで、その人たちの心理がわかる。

言うならば大家業ってね、ちょっと乱暴に言うと、入居者さんを集めるゲームなんですよ。

どうやって集めるかっていうのを、それぞれが知恵を絞って、それぞれの武器を使って集めてくる作業です。

その武器っていうのは、どれだけ賃料を下げるかもそうだし、築年数やうちの物件はこの駅から近いっていう部分があったりだとか、広さはこんだけあるとか、犬を飼ってもいいとか猫を飼っていいとか、いろんなオプションを周辺物件(ライバル物件)を見ながら、自分だけちょっと頭ひとつ抜けるように調整して収益を最大化するのが大家業というビジネスなんですよ。

だから、それをするために一気に緩和するんじゃなくて周りを見ながら徐々に徐々に緩和していくっていうことになるので、一気にペットOKって言うのが進まないのはそういうところが関係するんですよ。

―― 見ているんですね。周りを。
ねこ大家:

周りも見てますし、今はそんなことしなくても(入居者が)入ってたらやる必要がないっていうところも当然あるので。

反対に一戸だけあえてそれをやると、今まで不可っていうので入ってた人から文句が出る可能性もあるよね。

―― 確かに!
ねこ大家:

ですよね。

そんな余計なトラブルなんて絶対あってほしくないんですよ。

そういう色んな要因が絡まって増えないんですよ。

―― そうすると、1部屋だけ空いていて、という方はあまりネコリノベはされないと。マンション1棟とかじゃないと。
ねこ大家:

なので、半分ぐらい空いてきたとか、もう何やっても埋まらないっていう大家さんたちが、条件の緩和を全開に広げて、門を叩きに来るっていうのが大半ですね。

―― 切羽詰まっているんですね。
ねこ大家:

そうなんですよ。

―― そうなのですね…。ペット可の物件が、もっとじゃんじゃん増えてほしいと、私、個人的には思うんですけど、仕組み上難しい感じですね。
ねこ大家:

本当に猫が好きな大家さんでも、今既に猫やペット不可の状態で満室でだったら、それは触らないですよ。

何か(入居者が)入らない物件とかがあったらやろうかなっていう気持ちは多分あるとは思うんですけど。

既に入っているなら、ねぇ。

―― ちょっと謎が解けました。私、今まで(ペット飼育可の物件は)こんなに素晴らしいアイディアなのに、なぜこんなに浸透しないんだろうと思って、すごく不思議だったんですけど。
ねこ大家:

そういうことなんですよ。

やっぱりビジネス優先に当然なるんですよね。

大家業っていうのは、土地や建物を親から引き継いで、それを守っていかないといけないという事情もあるでしょうし、反対に相続とかで受け継いで兄弟で分けると財産半分になるので、相続税とかも払わないといけないし、端から見てるほど、そんなに楽なものでもないですよ。

少子高齢化になってるのに、新築の賃貸マンションとか分譲マンションが建ったら、当然そこに世帯が集中していくじゃないすか。

そしたら古い賃貸住宅の需要は減っていきます。

特に交通が不便なエリアなんかもう、厳しい状況になっています。

ただ古くても、都心で駅近でそこが人気のエリアだったら、満室なんです。

でも、そこは満室なんで猫可はやらないんです。

だから皆さんが探している便利なエリアでは猫可賃貸が少ないんですよ。

逆に不人気エリアでは、もう条件は緩和していると思います。

―― お、思った以上に壮大なお話でした(笑)。私自身、大家業というものを全く知らなかったので、今回お話を聞いて、そうなんだって目からウロコがポロポロです。
ねこ大家:

まあ、都心の物件でも、競争力が落ちてきているものもあって、例えばワンルームなどの狭い物件とか。

ちょっと賃料上乗せすれば、もうちょっと広いところに行くって言う人も今は多いし。

昔は狭くても、当たり前だったんですけど。

―― 確かにそうですね。ねこ大家さんが取り扱う物件は、比較的多頭飼い向けが多いかなって思うんですけど、先ほどの条件の話もあるかとは思いますが、それはやっぱり大家さん(貸し手)側が多頭飼いOKにした方がお客さん取りやすいからとかですかね?
ねこ大家:

自社の物件も受けてる物件も含めてなんですけど、何戸も作ってきているので、大体広さによって何匹ぐらい飼えるなっていうのはもうわかるんですよね。

その中でも一応最大匹数の設定はしています。

仮にそれより、多い場合っていうのも相談を受け付けています。

通常5匹のところで、6匹、7匹とかも場合によってはあり得ます。

―― 住めるということが大事ですもんね。
ねこ大家:

それぞれの事情もあると思うんですよね。

なのでそういうのは許容してますし、そもそもその活動の一番最初のテーマである、野良猫を家の中に入れるっていうのは、多頭飼いの数が多ければ多いほど、中に入れる猫が多くなるじゃないですか。

だから猫可賃貸を10部屋作ったとして、猫飼育可だから、元々0だったのを1匹ずつ飼えるようにして、10室で10匹入れるっていうよりかは、そこを1室5匹飼えるようにちゃんと作ってあげれば、10室作っても50匹中に入れるわけじゃないですか。

―― そうですね。その観点から見ても、確かに多頭飼いは素晴らしいですね。
ねこ大家:

ある程度のルールを設定しながら、なるべく許容してあげて、最大飼えるような作りにしてるっていうのはありますね。

―― 入居者さんが退去されるときに、多頭飼いの場合と、1匹の場合とでは原状回復工事の度合いは全然違うのでしょうか?それとも単純に匹数分ではない…?
ねこ大家:

単純に匹数分の掛け算ではないですね。

どちらかというと、もうこれ言ったらちょっと申し訳ないですけど、入居者さん次第になります。

ちゃんとトイレの数を必要分用意したり、爪とぎのおもちゃもちゃんとたくさん置いていたりとか。

あとは何か汚れたとしたら、すぐにぱっと拭き取る人とか、ちょっと(汚れを)そのまま放っておいちゃう人とか。

あとはキッチンに猫をいくら入れないようにしてるって言っても、なかなか掃除しない方とかやっぱりわかれるんですよ。

家賃帯とか住む場所とかによっても、違いはあると思います。

エリアによってその賃料の基本ベースが違うじゃないすか。

―― 地域とか治安でもあるってことですね。
ねこ大家:

それはありますね。

―― 猫好きな方は、みんな猫に対してちゃんとしていて、システムトイレとか、汚れてもすぐにきれいにしてっていう方が多いと思っていたんですけど、そうじゃない方もいらっしゃるんですね。
ねこ大家:

そうですね、何度も退去立ち会いをしていますので。

まあ、いろんな方がいらっしゃいます。

―― 猫好きとして、猫飼育可物件に住む身としては、これからも猫飼育可の物件が減らないように、逆に増えるように、飼い主としてのマナーもしっかりと守っていきたいし、啓蒙していきたいと思います。

ねこ大家さんの物件に住むにはどうしたら…?

ねこ大家さんの物件、みなさん見たことありますか?
もし、まだの方がいたら、この記事を読む前に、とにかく一度見ていただきたい!!
見ればわかりますから…!!
その上で、ここからのインタビュー取材をお読みいただくと、より楽しく読み進めていただけるかと。

🔽ねこ大家様インスタ
https://www.instagram.com/nyankichi_neko/

―― あの、ねこ大家さんに物件に住むには、どうしたらいいのでしょうか?(個人的な質問です…)
ねこ大家:

仲介会社さんのところで見つけるとかですかね。

SUUMOとかにも載ってるんですけど、入居者決まったらすぐに落としちゃうんで…

あとは、インスタのDMからとかですかね。

あのインスタに上がってた部屋、どこの物件ですか?とか。

―― DMですか。
ねこ大家:

基本不動産屋さんとか建築会社さんって、ビジネスのために運用しているので、それは別にいいと思うんですけど、僕たちのアカウントって、もう極力商売っ気をなくしてるんですよ。

だからインスタで入居者さんを募集することもないですし、賃料を記載することもないです。

インスタでは、猫のための家づくりのアイデア、全国の大家さんへ猫可賃貸の普及活動、保護猫活動を発信するために使ってるんですよ。

―― そうなんですね。これはねこ大家さんの空き物件を探すのは難しそうですね…。基本的には関西中心でリノベされていて、時々名古屋の物件もされていますよね。名古屋はこれから拡大されますか?(ネコと終活地方が名古屋のため、めちゃくちゃ気になっています。笑)
ねこ大家:

新築戸建てやご自宅のネコリノベは他府県でも受けてますが、賃貸はどうでしょう。

他府県の大家さん、また大家さんの話に戻るんですけど、さっき言ったような、もうなりふり構っていられない大家さんか、あるいは猫が好きで余裕ができたからちょっとやりたいっていう人とで分かれてくるんですけど、大阪は僕たちの自社の物件であったりとか、自分が買ったりだとか、知り合いの資産家の人が猫物件やってよっていうので普通に増えていくと思うんですね。

他府県でさすがに自分たちが物件買うことはないので、他府県の場合はやっぱりそういった事情で、作ってほしいっていう人たちの依頼があれば、ですかね。

―― あ、それで大阪物件が多いのですね。納得です。そうすると、いろんな県の大家さんがねこ大家さんのインスタやHPを見て依頼してくると、またねこ大家さんのネコリノベ物件が増えていくのですね。
ねこ大家:

ただ、そこで理解が合えばいいんですけどね。

なりふり構っていられない大家さんでも、なりふりは構ってないんだけど、お金は出したくないって人はいるんです。

―― それは困っちゃいますね。
ねこ大家:

そうなんですよ。

だから、そういう方たちは、最初からお断りしていますね。

それぐらいの規模の物件を提供して、これだけ欲しいんだったら、やっぱりそれにお金かけないと難しいんですよね。

実際そのくらいやらないと、飼い主さんも満足しないですよ。

最終的に猫を飼っている人たちの足元を見て、飼うところないんでしょっていうような感覚に近い人っていうのは、もう何か思想が合わないんですよね。

―― 思想が違いますもんね。
ねこ大家:

合わないんですよ。

だからそれはちょっと違うでしょうと。

賃料をそれなりにプラスしてもらうんだったら、やることやってくださいっていうことなんですよ。

そこまでやって初めてWin-Winになる。

契約関係って、基本的には五分五分じゃないですか。

だから、猫飼ってる人に対してはもう8:2、9:1ぐらいで下に見てるなっていう大家さんは、お断りをしてるんです。

逆に、もう空室で、猫飼ってる人に対してそれなりに賃料もらいたいから、もうフルリノベーションでここまでやるからっていう人には全力で協力しています。

―― なるほど。確かに(自分が借りる側で貸主から)嫌だったら出てっていいんだよとか言われると、もうどうしようもないってなっちゃいますもんね。
ねこ大家:

そうですね。

僕たちも、そういうことじゃないとは思うんで、ちゃんとやりたいっていう大家さんとか、マンションの経営者の人たちから依頼があったら、大阪だけじゃなくて、次は神戸でもやりますし、昨日鹿児島から来られて、鹿児島の方でももしかしたらやるかなっていう感じです。

―― 鹿児島の場合ですと、施工される方も鹿児島に行かれるのですか?
ねこ大家:

設計だけこっちでできるんで、施工店は鹿児島で見つけるっていう感じですね。

―― 設計だけお願いするって言うのもできるんですね。
ねこ大家:

はい。

でも、名古屋は施工の職人さん行ってましたけどね。笑

―― あ、インスタとかで上がってましたね。
ねこ大家:

上がってました。

―― ねこ大家さんのところの施工の方が行かれてたんですか?
ねこ大家:

うちのスタッフも行っていましたが、名古屋で(できる人が)いたので分離発注しました。

家とか作るときって、いろんな分野の人がいるんですよ。

ガラス屋さんでガラスを貼るだけの人とかっていうのは、大阪から連れて行くわけじゃないんで、別に名古屋の職人さんでもいいんですよ。

基本設計を実現してくれるのに一番大事なのは大工さんなんですね。

―― 大工さん。
ねこ大家:

その大工さんが、腕のいい人だったら全然いいと思いますけどね。

―― 大工さんの腕の善し悪しというのはどこでわかるんですか?
ねこ大家:

いやもうその設計図面通りにちゃんと作れるかどうかです。

それを責任持ってちゃんとできるかどうか。

何て言うんですかね、例えば、ちょっと何ミリかずれてたとかって言って、それが気になる人と気にならない人っていう、そういう問題だと思います。

そういうのが許容範囲であるんですよ。

建物も木なんで縮んだりもするから、ある程度の許容範囲があるんですけど、これが積み重なったらどうなるのっていう話なんですよ。

小さなずれもどんどん積み重なったら大きな誤差になってくるっていう。

建物はしっかりできてるんですけど、内装工事で、クロス張りが下手だったら浮きがいっぱいあるとかね、そういうことですよ。

だからそれが気になるか、気にならないかって言うことですね。

ぱってやって、もう面倒くさいし、チェックする人が気づかなかったらやり過ごせる、っていう話だと思いますよね。

―― ああ、なるほどです。
ねこ大家:

だから、今まで一緒に仕事して付き合いがある人とかだったら、そういうの気にしてくれる人だとか、あとは僕らがこれいつも指摘するから、ここは気にしてやってくれてる人とかって、何となくわかるので。

やっぱり何か物を作るのに、同じ方向を向いてるっていうのは大事ですね。

―― そこの思想が合ってるかどうかですね。考え方とか精度とか。
ねこ大家:

工事の終盤で手戻りするのは、誰もが面倒くさいんで。

だったらもう最初からやろうよって。

―― 確かにそうですね。だんだんわかってきました。そうすると、やっぱりねこ大家さんの手の入った物件1棟がドーンと建って、入居者募集って言うことはあまりないってことですね。
ねこ大家:

そうですね。

そもそも新築で建てるときって、共同住宅、賃貸マンションでもなんでもいいんですけど、新築で建てるから、あまりいらないことはしないんですよ。

―― 確かに!新築って言うだけで入りますよね。
ねこ大家:

そういうことなんですよ。

なので、また元に戻りますけど、いらないことをしない方が入る、家主にとっては普通が一番楽なんです。

―― 老朽化してきて、なんかどんどん人が出ててってなったときに、あれ?困ったなってなる。
ねこ大家:

そうなんですよ。

なので最初っからそれを踏まえてやればいいって思うんですけど、数年先のことを先回りしてやることに対する費用が高すぎるんですよ、建物っていうのは。

何千万、何億とかかけて物件を建築(購入)して賃貸経営をする時に、なるべく費用は下げたいっていうのは、誰もが思うことであって。

新築で建てて入らないところには、まず建てないじゃないですか。

だから建てるんだったら、新築という武器だけで人が入る物件でやった方が、多分経営的には僕は正しいと思うんですよ。

ただ、物事なんでもそうですけど、後々のことを考える・先のことまで考える人ってあまりいないじゃないですか。

一番いい例が、遺言書の話とかあるじゃないですか。

将来、自分が死ぬのわかってて、遺言書を書けばいいのに書かないでしょ。

で、あとで揉める。私の親もそうでした。

それでもね、大変だし目の前にやるこがといっぱいあったりすると、どうしてもそういう目先のところにだけ目が行ってしまう。

そういうのが、今のこの賃貸住宅のマーケットの事情においても続いてきてるんで、それを変えるというのはなかなか難しいと思います。

―― そうですね。
ねこ大家:

昨年受けた物件で、名古屋のオーナーさんが、ネコ愛にめちゃくちゃ溢れている方で。

本当に猫のために物件を差し出してくださって、うちが猫のためにやりたいっていうことも、結構費用かかったんですけど、いやもうそれがいいんだったらやりますって言って提供してくれて。

こんな名古屋の大家さんみたいな人は、もう出てこないかなっていうくらい。

これまでにいろんなオーナーさんとやり取りさせていただいていますが、本当にいいオーナーさんと出会いをいただいたって言う。

だから入居者さんもいい入居者さんたちが入り始めていて、これが満室になったら本当に幸せな猫マンションになるかなって思いますね。

ねこ大家様物件の部屋番号プレート。(普通に販売してほしい)

▶▶▶ 後編に続きます。

後編は、ねこ大家様とSNS戦略、住宅の耐震性能や、ねこ大家様の今後の活動について、引き続きたくさん深堀していますので、是非ご覧ください。

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