ネコの終末期の医療方針は、彼らが元気なうちに考えておく

ペットの終末期の医療方針について

生き物には、必ず寿命があります。

あなたにも、そしてあなたの大切なネコさんにも。

事故や突然死などでない限り、ほとんどの場合は終末期を迎えます。

終末期には、飼い主であるあなたがネコさんの状況を正しく理解し、彼らの苦痛を最小限に抑えるために医療方針を決めることが必要になりますが、いざ終末期に入ってから冷静な判断をすることは、ほぼ不可能です。

長い年月を家族として一緒に暮らしてきて、その死を冷静に受け入れることは、かなり難しいはずです。

そこで、彼らが元気なうちに、終末期の医療方針を決めておくことが非常に重要になってきます。

目次

終末期とは?

終末期とは、ネコさんの命が尽きるまでの期間を指します。

病気や老衰、ケガなどによって彼らの状態が悪化し、治療が難しくなった場合に、終末期に入ったと考えることができます。

終末期には、本人たちが苦痛を感じることが多くなるため、飼い主であるあなた自身がその状況を正しく理解し、彼らに適切な医療を受けさせることで、大切な家族のQOLをできる限り保ち、最期まで苦しみが少ない状態で寿命を全うさせてあげることができます。

終末期における医療方針

ネコさんの終末期における医療方針は、飼い主であるあなたが決めることになります。

彼らがこうしてほしい、と意思表示することはできません。

だからこそ、飼い主であるあなたが獣医師のアドバイスを受け、状況を正しく理解することが必要です。

終末期治療の目的

終末期における治療の目的は、ネコさんが苦痛を最小限に抑え、快適に過ごせるようにすることです。

そのために、飼い主は獣医師と相談し、適切な治療を受けさせなければいけません。

ただし、彼らが苦しんでいる場合には、あなた自身が決断し、彼らの苦痛を和らげるための措置を取ることも、時には必要になります。

終末期治療の種類

終末期における治療には、以下のようなものがあります。

大切な家族が苦しんでいるわけですから、すべてやってあげたくなってしまうのは当たり前の感情ですが、時間とお金には限りがあります。

あなたの大切なネコさんが終末期に入ってからでは、決断を下すのはかなり難しいので、元気なうちに、ここまではやる、これ以上の延命はしない、と言った判断基準をしっかりと検討しておくことが大切です。

痛みの管理

ネコさんが痛みや苦しみを感じている場合には、飼い主は獣医師のアドバイスを受け、適切な鎮痛剤を与えることも検討してみましょう。

モルヒネなどの鎮痛薬は耐性が付くという理由などで、使うのを嫌がる飼い主さんもいらっしゃいますが、鎮痛剤を適切に使用することで、ネコさんの痛みを和らげることができるため、終末期においては獣医師の判断のもと適宜使用していくことも選択肢の中に入れておくといいでしょう。

栄養管理

終末期になると、ネコさんの食欲が低下することが多いため、飼い主はネコさんの栄養管理にも注意を払う必要があります。

獣医師と相談し、ネコさんが食べやすいウェットやペースト状の餌や、栄養補助食品を与えることで、彼らの健康状態を少しでも長く維持する可能性があることを覚えておきましょう。

また、時には療法食を獣医師から処方されることもありますが、終末期においては、食べない療法食を無理やり食べさせたり、療法食しか食べさせなくて体重を減らしてしまうよりは、ネコさん自ら食べる市販の餌を与えることも考えてみてください。

真面目な飼い主さんに多いですが、病気の子には療法食しか与えてはいけないと思っている方がいらっしゃいます。

担当獣医師の考え方にもよりますが、食べないよりは一般の餌でもいいから食べて体重を落とさないことの方が、終末期においてはよいとされる場合もあるということを知っておきましょう。

水分補給

終末期になると、ネコさんが水を飲むことが困難になることがあります。

水を飲めなくなると、脱水状態になりますので、その場合はスポイトやシリンジで強制的に水を与えるか、点滴等で輸液してあげる必要があります。

動物病院の方針にもよりますが、点滴は自宅でも行うことが可能です。

担当獣医師と相談し、あなたのネコさんに合った水分補給方法を選びましょう。

呼吸器の管理

終末期になると、ネコさんの呼吸が困難になることがあります。

酸素室などもレンタルできますので、獣医師と相談し、適切な呼吸器管理を行うことで、ネコさんの苦痛を最小限に抑えることができます。

自宅での看護

終末期に入ったネコさんは、自分で自分のことができなくなる場合が多いため、自宅での看護が必要になります。

飼い主は、ネコさんが快適に過ごせるように、様々なことに気を配ることが必要です。

また、仕事を持っているおひとりさまは、在宅勤務でない限り、終末期のネコさんの介護をすることは、かなりの困難を伴います。

介護のできるペットシッターサービスなどもありますので、すべてを自分で背負い込まずに、適宜そういったサービスを利用することも考慮に入れておくとよいでしょう。

安全な環境の整備

ネコさんが安全に過ごせるよう、飼い主は自宅の環境を整備しましょう。

ネコさんが転倒したり、障害物にぶつかったりしないよう、床や家具の配置を変更するなどの対策が必要です。

段差をなくし、キャットタワーなどは低いものに買い替えたり、場合によっては撤去し、また後退できなくなると家具の隙間などから抜け出せなくなってしまうため、そのような隙間を塞ぐなどの工夫をしましょう。

粗相をすることも増えるかもしれませんが、絶対に怒ったりせず、ペットシーツを部屋に敷き詰めるなどの工夫で乗り切ります。

温度調整

終末期には、体温調節機能は弱くなっているため、終末期には体温調整が必要になります。

飼い主は、ネコさんが快適に過ごせるよう、24時間冷暖房ONとし、部屋の温度や湿度を調整する必要があります。

身体の清潔管理

ネコさんの身体の清潔管理も重要です。ネコさんが寝たり座ったりする場所を定期的に清掃し、清潔に保つことが必要です。

また、寝たきりになった場合には、褥瘡を防ぐために定期的な寝返りなどもサポートしてあげましょう。

終末期の決断

ネコさんが終末期に入った場合には、飼い主は最後までネコさんを見守ることができればベストです。

しかし、ネコさんが極度の苦痛やストレスを感じている場合には、最善の決断を下すことも考えておかなければいけません。

ネコさんが受ける治療やケアが彼らの苦痛やストレスを軽減できない場合には、安楽死という選択肢があることも考慮に入れておきましょう。

この決断は飼い主にとって非常に難しいものであり、動物病院によっては対応していない場合もありますが、ネコさんのために最善の決断が何なのか、ということをあらかじめ決めておくことが大切です。

まとめ

ネコさんの終末期には、獣医師と飼い主の連携が必要です。

ネコさんが苦しまず、快適に過ごすために、飼い主は獣医師の指導の下、彼らの栄養管理や水分補給、呼吸器などの体調管理などに最大限の気を配る必要があります。

また、ネコさんが終末期に入った場合には、最善の決断を下すことも時には必要となってくるため、その時になって迷わないように、彼らが元気なうちに医療方針をしっかりと決めておくことが大切です。

ネコさんの死について考えることは非常に苦しく、悲しいですが、彼らを最期まで見守り、看取るために、自分にできることは何か?しっかりと考えておきましょう。

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